美意識を高める方法は中原淳一に習う!戦前から続く日本のkawaii文化
大きな瞳に美しくセットされたヘアー、色とりどりの素敵なお洋服を着た女性達。そんなイラストを数多く残し、昭和の日本に美をもたらし続けた中原淳一さん。第二次世界大戦を経験し、貧しさの中でも描き生み出した希望の女性像からは、強さや優しさが溢れています。
日本のkawaii文化が世界的に注目されている昨今、古き良き日本の美意識に改めてスポットを当ててみましょう!忘れかけていた、女性ならではの魅力に再会できるかもしれませんね。
でも、みほちゃんて流行りのファッションとかが好きなんだよね?中原さんに興味あったなんて驚いた!(嬉しいけど…♡)
Contents
美の哲学者「中原淳一」とは?
戦前・戦中・戦後を華麗に駆け抜けた
大正2年2月16日、香川県に誕生した中原淳一さん。早くにお父様を亡くした為、2人の姉とお母様といった女性陣に囲まれて育った様です。幼い頃から人形作りが好きで、お姉様と西洋人形を作っていたとか。後に、フランス人形展も開催しています。
昭和に入り日本美術学校にて西洋絵画を学び、昭和7年には雑誌の専属画家として活躍していました。しかし、第二次世界大戦の影響により、昭和15年には雑誌への掲載がされなくなってしまいました。
ここで停止しないのが中原さんの凄い所!時同じくして雑貨店「ひまわり」のオープンや、「きものノ絵本」という著書を通販で発行したりと、時代の流れに負けずに大変活動的だった様です。そんな中原さんですが、恋愛の方もしっかり活動的でした♡宝塚元男役の葦原邦子さんとご結婚されているんですね。
昭和20年に召集令状を受け戦争にも行きましたが、終戦後の昭和21年には雑誌「ソレイユ」(※後に「それいゆ」となる)を創刊されました。その後も「ひまわり」「ジュニアそれいゆ」「女の部屋」など数多くの女性向け雑誌を創刊されました。
女性に寄り添いながら活躍を続けた人生
精力的に活動を続けてきた中原さんですが、ご病気になられ入退院や療養生活を余儀なくされた時期も。そして昭和58年4月19日、大正から昭和の激動の時代を美しく駆け抜けた中原さんは人生に幕を下ろしました。
戦争によって何もかもを失った日本に、希望や喜びを与えた中原さん。日本の女性がもっと輝ける様に、美しく素敵に毎日を過ごして欲しいと考えていた中原さん。彼の「美意識論」には、外見も内面も美しくする術がプレゼントの様に包まれているのです。
「それいゆ」に登場する素敵女子
誰だってなれる「誰もが憧れる女性」
別冊太陽238 中原淳一のそれいゆ (別冊太陽 日本のこころ 238)
「美しく生きるためにはどうすればいい?」女性ならそんな風に考える事がしばしばありますよね。戦後貧しかった日本では、生き伸びるのに精一杯な人々で溢れていました。とにかく食料や生活用品を求めて、一日を過ごすのも大変な時代でした。そんな風景の中で、中原さんは「これではいけない」と感じたそうです。
若い女性には夢を持って欲しい、目を肥やし美しさのある生活を。「ソレイユ」という雑誌のタイトルに込められた女性への思いは、深く大きなものだった事が伺えます。ソレイユに登場するイラストの女性達は一見憧れの存在に見えます。しかし、中原さんはアイデアや工夫次第で、誰もがこんな風に輝ける方法を提唱し続けました。
女性の自立・賢さ・軽やかであって良い!という思い
イラストの女性達の表情に注目してみてください。知的で自信に溢れ、堂々とポーズをとっているのです!ファッションやヘアースタイルだけでなく、心の持ち方にも美が必要だとお考えの中原さん。内面へのアプローチも、雑誌に多数掲載していました。
色々な事を学び、挑戦し、自由で強い女性。美しい物に囲まれ愛で、優しい心を育てる。生活の中にどれほど美しさが必要か、さまざまな作品から感じ取れる様になっています。身も心も装う事の大切さは、中原さんと親交のあった美輪明宏さんも提唱しているんですね。こちらの記事→美輪明宏の名言で人生改革!「正負の法則」から学ぶ強い女性になる方法でもご紹介させていただいています。
知識や教養を高めることにより、生活をより豊かにする方法を身につけて欲しかったんですね。女性が一人の人間として、夢を持って生きて良いんだと背中を押してくれています。まだ、女性が社会で活躍する事が困難な時代にです。現在、多くの女性が輝いて居られるのも、中原さんが新しい女性のスタイルを世に広めてくれたおかげなのかもしれません。
ファッションを楽しもう!色や小物を味方に
「おしゃれの絵本」から吸収できる事
中原さんの言う「着物」とは着るものを意味します。「質素であり健康であり、そしてスッキリと」その中に自分らしいセンスをのせていく。肌の美しさも大切だとお考えの中原さんは自らも薄化粧を施していたようです。
「おしゃれの絵本」では、ファッション評論家であるピーコさんがこの様に語っています。例えばワンピースひとつとっても、柄、色、形、フレアなのかタイトなのか、丈の長さはどの位なのか…さまざまなタイプの物があります。そしてインナーやアウターはどんな物を合わせるべきか、TPOをわきまえたコーディネートなどを学べるのが、中原さんの本の最大の魅力なんです!
小物使いも楽しめる様に…
帽子やバッグ、靴やスカーフ、そして手袋や傘まで。オシャレに欠かせないのが、この様な小物の数々なんですよね。現在は豊かになり、若い頃からハイブランドを取り入れる事がオシャレ女子のステータスの様になっています。
もちろん素敵なブランドのアイテムですから、ダメという訳ではありません。でも、その前に大事なのは、全体のバランスなのだという事を理解していただきたいのです。素敵なお洋服を選んでも、合わせる小物によっては台無しになってしまうことも…。
ファッションの知識も乏しく、経済的にも困窮している女性が多かった戦後の日本では、お金をかけずにアイデアでファッションを楽しむ事が必須でした。中原さんは一つのワンピースでも合わせ方を考える力や閃めきを養えば、さまざまなシーンに使いまわせる事を教えてくださっているのです。
驚きのカラー講座
そして「おしゃれの絵本」の付録的存在である配色ハンドブックでは、色の合わせ方を学ぶ事ができるんです!挑戦してみたいけど難しそう…と感じていたカラーも、合わせる色によってどんな雰囲気になるのかが、わかりやすく解説されています。黒の例をご覧下さい。
・黒×薄い紫
黒と合わせるのはうすい紫に限る三十過ぎたマダム風な感じの人に。
・黒×赤
最も強烈な配色だが、案外誰にでも似合って、その人の印象を強める。
・黒×水色
静かで派手ではないが、十代の人にも又、中年の人にもよく似合う。
・黒×若草色
若草色だけで見ている時よりグッと明るい印象で大人向き。
・黒×ピンク
ピンクの可愛さがますますさえて見えるのだけれど、子供っぽくない。
・黒×グレー
美しいが地味だからというわけではなく、若い人には向かない。
このような色のアドバイスに加えてイラスト画が掲載されており、コーディネートをサポートしてくれるのが「配色ハンドブック」なのです。友人と遊ぶ時、かしこまった装いが必要な時、恋人とのデートの時、臨機応変にファッションを操れる素敵な女性になれそうですよね。
「おしゃれの絵本」
中原淳一著×ピーコ選
商品価格:3,034円(2017/03/30現在)
お部屋のインテリアにユーモアを
お部屋の工夫を提案
転載元:RoomClip
インテリア雑誌に載っている様な、おしゃれなお部屋に住んでみたいと思いませんか?私の家では無理だな…と思っている方に是非オススメしたいのが、中原さんの提唱するインテリア術。実は、アイデアと工夫次第で素敵なお部屋に変身させる事は可能なんです!
まず、一番大切な事は片付け。「綺麗にしようと思う心持ちが無いと、すぐに散らかってしまうから」との事なんですね。確かに、整えられた空間の方が何をするにしても能率が上がるものです。片付けをして、お部屋を清潔に保つ癖をつけたいですね。
さて、インテリアについてですがお金をかけずに可愛くするにはどうしたらいいのでしょう?物も無く貧しい時代とは思えない程の、素敵なお部屋をご紹介している中原さん。現代でも大人気の「リメイク」にイチ早く注目していたんです!
空き瓶や空き箱にお気に入りの柄の残り布を貼り付けたり、シンプルなブラシにリボンを付けたり…。収納場所を確保しつつ、美しさも忘れないそんなインテリア術を世に広めていきました。
アイデアとkawaiiが詰め込まれたお部屋
転載元:RoomClip
先程もお名前が挙がりましたが、美輪明宏さんは貧しい時代を過ごしたアパートをご自分で可愛くリメイクしていたんだそう。中原さん同様、生活に美しさを取り入れる事の大切さを知っているんですね。
タンスはピンクに塗り、バーゲンで安く購入した生地でカーテンを作り、なんと畳の上にはボール紙に布を貼ったものを敷き詰めたそうです!中原さんも、収納できる簡易ベッドで2畳間でも快適に過ごすお部屋を提案していました。
現在は、プチプラで購入できる物が増えました。昭和の過酷な時期をアイデアと工夫で夢いっぱいに過ごしてきた女性達に、負けてはいられません♪
お料理も美意識の元に!とっておきレシピ
中原淳一の幸せな食卓―昭和を彩る料理と歳時記 (集英社be文庫)
節目節目を祝う料理や、季節を感じるメニューからも美を感じることができます。見た目はもちろんですが、料理を提供する相手への配慮や思いも美意識から発生しているんですよね。「中原淳一の幸せな食卓」より、素敵なレシピのご紹介です。
新年を祝う「宝橘」
参考画像:レシピブログ
おせちの定番である、大根と人参の膾。ひと工夫して華やかさをプラスした物が「宝橘」です。こんな綺麗なおせち料理が作れる女性、素敵だと思いませんか?
[作り方]
1 蜜柑は上部を切り、中の果肉をくりぬき薄皮を剥く
2 蜜柑の果肉をほぐす
3 大根、人参を細く切り塩で強くもむ
4 水で洗ってかたくしぼり、甘酢につける
5 だし昆布を細切りにする
6 かずのこを、水につけてやわらかくもどす
7 やわらかくなったかずのこをほぐす
8 蜜柑の果肉、大根と人参、だし昆布、かずのこを混ぜ合わせる
9 合わせた物を蜜柑のケースにつめる
季節の贈り物「トマトのサーモンケース」
参考画像:レシピブログ
9月、涼しくなりはじめる季節には少し手間をかけたお料理に挑戦してみましょう!トマトとサーモンが相性の良いこちらのレシピは如何ですか?
[作り方]
1 トマトのヘタの部分にフォークを刺し、強火で炙り皮がはじけたら冷水に入れる。乾いた布巾で拭くようにして皮をむく
2 ヘタの部分を少し切り中をくり抜く
3 全体に塩、コショウをして冷ましておく
4 セロリの筋を取り薄切りにし、氷水につけカールさせる
5 鮭缶を開けセロリと混ぜ合わせ、トマトのケースにつめる
6 ソースは、マヨネーズにくり抜いたトマトの果肉を細かく刻んだものを混ぜる(塩で味を整える)
7 先程作っておいた鮭とセロリのトマトケースにソースをたっぷりかける
8 仕上げにパプリカをふりかける
中原淳一が提唱する結婚について
中原淳一エッセイ画集3 結婚 二人のしあわせ (コロナ・ブックス)
結婚により家庭を任される事になる主婦、バタバタと忙しく美しさにかまけていられない女性にもメッセージを送っていた中原さん。独身時代から比べると、自由も制限され生活にゆとりがなくなりがちですよね。そんな主婦である女性にも毎日を楽しく過ごして欲しいと、夢のある生活のヒントを掲載していました。
そして、結婚生活に最も大切な夫婦間についてはこのように語っています。
「二人のしあわせ」では、色々な夫婦の参考例を挙げています。中でも筆者が感銘を受た二つのお話に着目してみたいと思います。
話し合うよさ
最初の結婚は一年ほどで死別、後に二度目の結婚をした女性とご主人のお話。両方とも年齢や生活がよく似ているサラリーマンでしたが、再婚後ある事に気付きます。元のご主人は雑談どころかあいさつもままならない様な方でしたが、再婚相手であるご主人はよく話す方だったのです。
彼女はとても愉しく、夕食のメニューも彼の好物が増えたそうです。このお話から、家庭にどれほど会話が必要なのかがわかりますね。たわいも無い内容でも、会話が弾むと生活が愉しくなる事を伝えています。
わずらわしいやきもち
見慣れないマッチ(今でいうとキャバクラのライター)を発見して、つい詮索してしまう妻。誰と行ったの?何故行くの?と聞いてしまいます。ご主人が友人と遊びに行ったとしても、正直に返答する方はあまりいません。そして会社の付き合いだとしたら、「仕方なく行っただけなのに…」といい気持ちはしませんよね。
そんな事を繰り返していると、「どうせやきもちを焼かれるのだから、一人で遊びにいってやろうかな」とご主人は考える。なんともわかりやすい男性心理のお話です。要約すると、やきもちは何の役にも立たないということです。
この様に、中原さんは夫婦間のしあわせにも目を向け、結婚生活のコツを伝えていきました。
私達の中に眠る日本の美意識
豊かな時代に生きる私達が、昭和の若い女性に学ぶべき事は山ほどありそうですね。中原さんが残してくださった「美意識」は、日本の女性に勇気や希望を与えてくれます。日本に生まれ、古くから現在まで続く日本のkawaii文化。形は変化しても、戦争を経験し悲しみが漂っていた日本に咲いた美意識。私達が忘れてはならない女性としての側面を、中原さんが教えてくれています。
bitomos編集部プロフィール
そのライターの経歴や性格を知れば、今後どんどんbitomosの記事を読むのが面白くなるかも!?この記事ではライターそれぞれの自己紹介と、記事を彩るゲストキャラクターたちを紹介していきます。あなたのお気に入りのライターが見つかりますように♡