ワーママ必見!平成29年改正 育児介護休業法★10月には追加改正も
「子どもは欲しい、でも仕事も諦めたくない…」仕事と家庭の両立は、20代、30代の働く女性にとっては最大の悩みと言っていいかもしれません。一方、50代の働く男女を悩ませているのが親の介護。急増する介護離職も社会問題化していますよね。
「仕事と生活」どちらも大事にしたい!そんなワーキングマザーの思いに応えてくれるのが平成29年1月からスタートした改正育児・介護休業法。同年10月には更なる改正が加えられ、より現状に即したスタイルになっています。
これからのワークライフバランスはどう変化するのか?育児介護休業法の平成29年1月の改正ポイント、そして10月の追加改正事項について解説します。働くママ、イクメンパパ必見ですよ。
育児休業法の改正で働き方はどう変わる?
国をあげて女性の活躍推進を目指しているはずなのに、待機児童の問題や職場のマタハラ問題などは一向に解消されず「実態が伴っていないのでは?」と感じることってたくさんありますよね。
求人媒体「しゅふJOBパート」の調査によれば、「2016年女性が働きやすくなった実感がありますか?」という質問に対して、「ない」と回答した人は78.3%。この数字は2015年と比べると6.9ポイントも増えてしまっているのです。
働き方改革とか子育て支援とか、法改正や行政改革は色々進んでいるみたいだけど、働くママたちは本当にラクになっているのか?ちょっと疑問を感じちゃいますね。会社規模とか風土によっても、対応はマチマチだし…。
これまでの育児休業法
育児休業法は、実は2009年(平成21年)にすでに大きな改定が行われています。これは仕事と子育ての両立支援を推進するための改定で、男女ともに子育てをしながら働ける環境を整備するのが目的でした。イクメンという言葉が使われ始めたのも、ちょうどこの頃ですね。
このときの改定により、
- 短時間勤務制度(1日6時間まで)の義務化
- 子の看護休暇制度の拡充(小学校就学前の子1名であれば年5日、2名以上であれば年10日)
- 所定外労働の免除の義務化(残業など)
- 父親の育児休業取得を促進することや、専業主婦の夫の育児休業除外規定
その結果、妊娠前から働いている女性のうち、出産後も仕事を続けている人の割合は、2010年から2014年で約53%と、以前に比べてその割合は確かに上昇しています。でも、その一方で妊娠・出産、育休取得などに関して職場で不当に扱われたという相談件数は増えているという現実があります。
育児休業法改正ポイント
では、育児休業法の主な改正ポイントを順番に紹介していきましょう。
子の看護休暇は半日単位で取得!
まず1つ目は、子の看護休暇が半日(所定労働時間の2分の1)単位で取得できるようになりました。
子の看護とは、小学校就学前までの子どもが1人であれば年5日、2人以上であれば年10日を限度として看護休暇を取得できるというもので、病気やケガなどの看護のほか、予防接種や健康診断の受診なども含まれています。
これまでの制度では、1日単位での取得だったため、予防接種など半日程度で済む場合でも1日休まなければなりませんでした。改正後は半日単位で取得することができるため、午前中のうちに検診を済ませ、午後から出社するということも可能です。例えば、子どもが急病にかかった場合でも、午前中はママが看護して午後からはパパにバトンタッチ!ということもできます。
急に休むと他の人に迷惑がかかってしまう…と悩む忙しいパパでも半日程度なら何とかなりそうですよね!夫婦でうまく連携すれば、パパもママも仕事に穴をあけずに子どもの看護ができるようになります。
契約社員やパートでも育休が取りやすい!
2つ目は、契約社員やパートタイマーなど一定期間の雇用契約で働く人の育休取得に関わる制約が緩和されたことです。
これまでの育休制度でも、契約社員やパートなど、期間が定められた雇用契約者が育休を取得することは可能でしたが、そのためには、
- 育休の申出までに過去1年以上の継続した雇用期間があること
- 子が1歳になった後も雇用継続の⾒込みがあること
- 子が2歳になるまでの間に契約更新の見込みがあるもの
という条件をクリアしなければなりませんでした。
by なごみぃ
改正後の制度では、3の条件が1歳6ヶ月まで引き下げられています。契約社員などの場合、更新年数や回数などの制限があることから育休取得を諦めてしまう人も多かったと思いますが、条件が緩和されたことにより、より多くの人が育休を取得できるようになりました。
事業主側のハラスメント対策が義務化
これまでの制度では、妊娠・出産・育休をする人に対して、事業主が不利益な取り扱いをすることは禁止されていました。今回の改正では、上司や同僚などが、育休や時短業務に対する嫌がらせなどを行なわないように事業主がきちんと対処することが義務づけられています。「嫌がらせを受けているかも…」と思ったら、勤め先の都道府県の労働局に匿名で相談することもできます。各地の連絡先は政府広報オンラインの特設ページでご確認ください。
追加改正!平成29年10月施行の改正内容とは
平成29年1月から上記の改正法が施行されてきましたが、さらに10月には追加の改正法が施行されることになりました。主な追加内容は下記の3つです。
1.育児休業が最長2歳までに延長!
育休中のワーママにとって最大の悩みといえば、「育休明けまでに保育園に入所できるか否か」ですよね。これまでの制度では、「保育園に入れず退職を余儀なくされた」という人も多かったはずです。
現行の制度では、赤ちゃんが1歳になったときに延長を申請すれば1歳6ヶ月までの延長が認められるというものでしたが、改正後は、1歳6ヶ月の時点でも保育園の入所が決まらない場合、再延長を申請して最大2歳までの育休が認められるようになりました。これに伴い、育児休業給付金の給付期間も2歳まで延長されます。
2.育児休業制度を対象となる労働者に個別周知する努力義務
事業主は、労働者やその家族が妊娠・出産したことを知った場合は、対象者に対して個別に育児休業に関する制度を知らせなければならないという努力目標が課せられるようになりました。
育休制度、休業後の待遇・労働条件などを単に就業規則に記載するだけでなく、対象者には個別に周知するよう努めなければならないということです。これにより「周知不足で制度が活用されない」ということはなくなりそうですね。
3.育児目的休暇を制度化する努力義務
事業主に対して、働きながら未就学児を育てている労働者が活用できる「育児を目的とした休暇制度」を創設する努力義務が課せられるようになりました。これは、法で定められている看護休暇や有給休暇とは別に与えられる休暇でなければなりません。
例としては、妻が出産する際の配偶者出産休暇、家族の介護や疾病予防のためのファミリーフレンドリー休暇、子どもの学校行事やボランティアに参加するための子どもの行事参加のための休暇などがあります。
介護休業法の改正で2017年問題にStop!
介護離職の問題が深刻化する現代。特に今年2017年は、人口ボリュームの大きい団塊の世代が70歳を迎える年であることから、団塊ジュニアたちの介護離職が顕在化してくるのではないか?と言われています。さらに2025年には団塊世代の全員が75歳を迎えることから、それぞれ2017年問題、2025年問題と呼ばれています。
今回の改正は、その介護離職問題に歯止めをかけることができるのでしょうか?
でも、やっぱり日々の世話は母親任せになってしまったので、ちょっと後悔しています。こういう制度があることもよく知らなかったんですよね。
介護休業法の改正ポイント
介護休暇が半日単位で取得できる、介護休業に関わるハラスメント防止措置の義務付けなど、育児休業法と同様の改正ポイントの他、2つの大きな改正ポイントがあります。
介護休業の分割取得
これまでの介護休業法では、介護体制構築のための休業として93日までの休業を、原則1回取得できることになっていましたが、改正後は93日以内であれば3回に分けて取得することができるようになりました。
家族に介護が必要になると、入院、退院、施設への入居準備など、長期で付き添わなければいけない時期が複数回あるものです。これまでのように「1回しか取得できない」と思うと、どのタイミングを選んでよいかわからず、結局取り損ねてしまったり、長期休暇で周囲に迷惑をかけるのでは?との思いから退職を選択してしまった人もいるでしょう。
今回の改正によって、介護休業は上限3回まで分割して取得することができるようになったため、「長期の付き添いが必要になる時期を想定して計画的に休みをとる」ことや「家族が分担して休みをとる」といったフレキシブルな対応ができるようになりました。
介護のための所定労働時間の短縮措置・残業の免除
所定労働時間の短縮措置とは、
- 所定労働時間の短縮措置(短時間勤務)
- フレックスタイム制度
- 始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ
- 労働者が利⽤する介護サービス費⽤の助成その他これに準じる制度
のことで、事業主は家族の介護が必要な労働者に対して、この中の1つを選択して対策を講じなければならないというものです。これまでの制度では、介護休業と通算して93日の範囲で取得しなければならなかったのですが、今回の改正では、介護休業とは別に3年間で2回以上の利用が可能になりました。
また、介護終了までの間、所定外労働を制限する=残業の免除という制度も新設されています。
育児介護休業法を取得するには…
育児休業も介護休業も、基本的に自社の就業規則に乗っ取って申請することになるので、まずは就業規則を確認してみましょう。会社によっては法律で定められている以上の制度を制定している場合もあります。わからないことがあれば、事業主や人事労務を担当している部署に確認してみましょう。
中には「就業規則に新しい制度が反映されていない」「就業規則そのものがない」という会社があるかもしれませんが、その場合でも法律に準拠した形で申出を行うことができます。
詳しくは政府広報オンラインの特設ページで確認してくださいね。
ワークライフバランスは自分でデザインする!
仕事と家庭を両立する。これは決して贅沢な望みではありません。今回改正で働く女性の選択肢が増えました。
これを機に自分自身のワークライフバランスをデザインし直してみてはいかがでしょう。きっとあなたにぴったりのワークスタイルが見つかると思いますよ!
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