一汁一菜の意味は?土井善晴さんが提案する家族のための愛情レシピとデメリット
「料理は愛情」そんな言葉に縛られ辛くなっていませんか?確かに、家族のために愛情のこもった料理を作ること、一人暮らしでもちゃんと自分で料理を作って食べることは、正しい選択だと思います。でも、愛情って品数の多さ、見栄えの良さ、料理人が作ったような上品な味わい、そんなことで測れるものではないんです。
料理研究家の土井善晴先生がこんな提案をしています。毎日一汁一菜、ご飯と具だくさんの味噌汁で大丈夫。“簡単なことをていねいに”手作りすることが、一番大切なこと。
「一汁一菜でよいという提案」。さぁ少し肩の力を抜いてキッチンに向かいましょう!
土井善晴先生の「一汁一菜でよいという提案」
NHK「今日の料理」、テレビ朝日「おかずクッキング」でおなじみの料理研究家、土井善晴氏。関西弁の優しい語り口調が人気ですよね。
その土井先生が昨年出版した「一汁一菜でよいという提案」という料理本が、今、世代を超えた主婦たちの共感を集めています。この本を執筆した経緯、そして「一汁一菜」の意味、毎日の献立作りをどう考えればよいのか?土井先生からメッセージ紹介しましょう。
毎日のご飯作り…しんどくなってない?
筆者も外で仕事をしていた頃は、デパ地下総菜や外食で済ませてしまうことが多かったので、その分休日は「一汁三菜」頑張って作っていました。でも、仕事を辞めてそれが日常になると、毎日「一汁三菜」はちょっと負担…。
夫はそれが当たり前だと思っていて、品数を減らすと「手抜き」と言われちゃう。自分で自分のハードルを上げてしまったことを後悔しています。
他の人は、毎日の食事をどう感じているのでしょうか?ちょっとリサーチしてみました。
料理に関する悩みって人それぞれだけど、困ってる人が多いのは事実。出来合いの物や外食ばかりでは、栄養面も気になるし、何より経済的な負担になってしまいますよね。なら自分で作るしかないのだけど、毎日のこととなると気持ちが続かない…。
ネット、TV、雑誌などでは、料理の達人たちがいとも簡単に手早くおかずを作ってみせるけど、実際にはそんなにうまくいかないものです。
美味しく作ってあげよう!って頑張ったのに、失敗しておいしくできなかったときや、家族から何のコメントもなければ、凹んでしまいますよね。そんなときにインスタやFBにアップされるママタレや料理上手な友人たちの豪華な手料理写真を見てしまうと、ますます気持ちが落ち込んでしまうなんてこともありますね。
仕事が忙しい、育児に手がかかる、掃除・洗濯、ご近所との付き合い、料理以外の家事だって山のようにあるのに、「ちゃんとした料理を作らなければいけない」という無言の重圧に押しつぶされそうになってしまっている人はたくさんいるはずです。
土井先生は、生協の宅配パルシステムのサイトKOKOCARAのインタビューの中で、この本を執筆した経緯について、こんな風に語っています。
さて、土井先生の提案とは、いったいどんなものなのでしょうか?一汁一菜の意味を紹介しましょう。
補足:
土井善晴先生の料理に対する哲学は、単に「食べること」を越え、「生きること」への深い洞察を含んでいます。料理を通じて、彼は私たちに「食」の本質を教え、忙しい日々の中でさえも、食事の準備を通じて心の落ち着きを見つける方法を示してくれます。土井先生が長年にわたり培ってきた料理へのアプローチは、彼自身の経験と日本の伝統的な食文化の深い理解に根ざしています。和食の持つ「旬」を重んじる考え方や、素材本来の味を活かすシンプルな調理法は、土井先生の「一汁一菜」の提案にも反映されています。
この哲学は、現代家庭での実践が容易でありながら、心にも体にもやさしい食生活への道を開きます。土井先生の提案する「一汁一菜」は、忙しい毎日の中でさえ、手軽に栄養バランスの良い食事を作ることができるという実用的なアドバイスを提供しています。さらに、このアプローチは、家族との食事の時間を大切にし、食材に感謝するという日本の伝統的な価値観を再認識させるものでもあります。
土井先生の「一汁一菜」は、食材の持つ本来の味を引き出すだけでなく、日々の食事作りにおける心の負担を軽減し、生活に秩序とゆとりをもたらします。このシンプルながらも深い考え方は、多くの人にとって、現代の忙しい生活の中で真の豊かさを見出すヒントとなり得るでしょう。
家庭料理の原点「一汁一菜」の意味
懐石料理では、ご飯と香の物、汁物の他に、酢の物、煮物、焼き物をつけた一汁三菜が基本です。家庭でもこれをお手本にして、ご飯、お味噌汁の他、メインのお惣菜1品、野菜や海藻類などの副菜を2品つけた一汁三菜を作らねば…と思っている人が多いかもしれませんね。
でも、家庭料理の基本は、一汁一菜。ご飯とお味噌汁とおかずが1品。それが和食の原点なんです。
昔はおかず1品も必ずついていたわけではありません。ご飯とお味噌汁と漬物。これだけで済ませることも多かったんですよね。それで何の不都合もなかったのです。
だから、おかずを何品も考えなくても、美味しいご飯と具だくさんのお味噌汁があれば、それで十分満足できる一汁一菜になるというのが、土井先生の提案です。
お味噌汁だけじゃ飽きちゃいそう!って思いますよね。確かに定番のお味噌汁を繰り返すだけなら、そうかもしれませんね。
でも、お味噌汁の具材って野菜や大豆製品に限るわけじゃなくって、肉でも魚でも何でもいいのだそうです。「今日はコレを食べたい」と思ったものを具材にしてみる。そうすればお味噌が味をまとめあげてくれます。
もちろん、イマイチ…と感じる組み合わせもあるかもしれませんが、意外な美味しさを感じることができたり、「これってこんな味だったんだ」と、食材の新しい魅力に気づかせてくれることもあります。
土井先生自身も一汁一菜を実践しているそうで、ご自身のツイッターには数々の美味しそうなお味噌汁の写真が掲載されています。
おいしかった pic.twitter.com/c5oMTCQM1R
— 土井善晴 (@doiyoshiharu) 2017年2月14日
土井先生は本の中で、
と、語っています。まずは、今の自分の料理に対する思いをリセットしてみましょう。見えないプレッシャーや、自分で上げてしまったハードルを一旦チャラにして、新しい我が家の食スタイルを作る。それが「一汁一菜でよい」という提案です。
日常の献立作りがラクになる
でも、ご飯とお味噌汁だけじゃ手抜きと思われない?って心配になりますよね。
「一汁一菜は手抜きではありません。和食の身上は素材を生かすこと。素材の持ち味を生かすにはシンプルな料理が一番です。家庭料理は手をかけないことが美味しさに繋がるのです」と、土井先生は言い切ります。
もちろん、野菜の泥を洗ったり、皮を剥いて食べやすい大きさに切ったり、アクの強いものは事前にアク抜きするという手順は必要ですが、それは手間ではなくて当たり前のこと。手間をかけること=美味しさではないし、ましてや愛情の度合いではないんだというのが土井先生の主張です。
一汁一菜と決めてしまえば、献立作りはとてもラクになるはずです。そのときの旬の素材や家族が好きなものを選べばいいだけです。お味噌汁の具材を変えるだけで、際限なく違う献立ができるというわけです。
もちろん、和食にこだわる必要はありません。一汁一菜というシステムをイメージして、何をどう食べるかを決めていけば、パンでも麺でも、洋食でも中華でもいいのです。
一汁一菜の日常では、気持ちにゆとりが生まれます。「今日はハンバーグを作ってみようかな」「美味しそうな魚があるから、ちょっと焼いてみようかな」というように、強制ではなく自分が作りたいものを作ったり、家族が喜ぶ顔を想像しながら作る。そしてそれを家族が一生懸命食べる。家庭料理の本来の意味ってこういうことだったんですね。
実践!家族のための愛情レシピ
いかがですか?早速実践してみたくなりましたよね。でも、「具だくさんのお味噌汁って豚汁ぐらいしか思いつかなーい」という人のために、一汁一菜のお味噌汁レシピを紹介しましょう。バリエーション作りのヒントにしてくださいね。
夏にピッタリ!鮭缶のきのこ冷汁
冷たいお味噌汁といえば、宮崎の冷や汁が有名ですよね。鯵の干物やいりこをほぐして入れるのが本来の作り方ですが、こちらは鮭缶と顆粒だしで作る簡単レシピです。
きのこ、茗荷、お豆腐が入ったさっぱりレシピ。食欲がない日にはこれだけでも十分満足できそうですね。冷た~く冷やして召し上がれ♪
■材料
鮭缶
干ししいたけ
エノキ、しめじ、舞茸、生しいたけ などお好みのきのこ
油揚げ
豆腐
茗荷
青ネギ
顆粒だし
味噌
■作り方
1.干ししいたけは前日から水につけ、戻しておく。
2.しいたけの戻し汁を鍋に入れ、お好みのきのこを入れて水から煮る。
3.沸騰したら、湯抜きした油揚げ、顆粒だしを入れる。
4.きのこが煮えたら火をとめ、味噌を溶く。(通常より少し濃いめに味付ける)
5.粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やしておく。
6.食べる直前に、豆腐、鮭缶を加え、茗荷と青ネギをトッピングする。
これ一杯で大満足!ほんのり甘いふかし芋のお味噌汁
引用:レシピブログ「レンジふかし芋で時短調理★サツマイモとしめじのお味噌汁」
秋から冬にかけて美味しくなるものといえば、サツマイモ!そのまま食べてももちろん美味しいのですが、お味噌汁の具材としても、いい仕事をしてくれます。
食べごたえもあるし、ほんのりとした甘さが魅力ですね。予めレンチンしてふかしたサツマイモを使えば、時短になりますよ。
■材料
サツマイモ
しめじ
玉ねぎ
豆腐
だし汁
味噌
■作り方
1.水洗いしたサツマイモを濡らしたキッチンペーパーにくるみ、耐熱容器に入れて軽くラップをした状態でレンジにかける。(600Wで4分程度。途中でひっくり返すと満遍なく加熱される)
2.竹串がスっと刺さる程度にふかして、食べやすい大きさにカットする。
3.だし汁で玉ねぎとしめじを煮ておく。
4.玉ねぎが柔らかくなったら、カットしたサツマイモ、豆腐を加え、味噌を溶く。
5.ひと煮立ちしたら完成。お椀に盛って、長ネギをトッピングすれば出来上がり。
身体も心もぽかぽか♪鶏ごぼうとくずし豆腐のお味噌汁
引用:レシピブログ「出汁いらず!鶏ごぼうとくずし豆腐のお味噌汁」
ザクザクとしたゴボウとふんわりとしたくずし豆腐、この二つの食感が楽しい鶏ごぼうとくずし豆腐のお味噌汁です。生姜が入っているので、身体がポカポカ温まりますよ~♪
鶏そぼろの代わりに胸肉を叩いたものを入れてもOKです。お肉のかたまりがあるほうがボリューミーになりますね。
■材料(2人分)
鶏ひき肉 50g
ごぼう 30g
木綿豆腐 100g
味噌 適量
生姜 少々
■作り方
1.豆腐はキッチンペーパーにくるみ重石を置いて水切りをしておく。ごぼうはささがきにして水にとってアク抜きをする。
2.沸騰したお湯に、生姜、鶏ひき肉を入れて、そぼろ状になるように菜箸でかき混ぜる。
3.鍋にごぼうと手でくずした豆腐を入れて煮る。
4.ごぼうに火が通ったら、味噌を溶いて出来上がり♪
白味噌と豆乳でこっくりクリーミィ!鮭のお味噌汁
生鮭が出回る季節には、絶対作ってみたくなる鮭と豆乳のお味噌汁。一見粕汁のようにも見えますが、豆乳と白みそを使っているので小さいお子さんでもOKです。
鮭は一度焼いてから煮ているので生臭さが抜け、香ばしさが引き立ちますね。お野菜もたっぷりで一汁一菜にぴったりのお味噌汁です。
■材料(2人分)
鮭 1切れ
大根 5cm
人参 1/3本
白ねぎ 1/2本
だし汁 1カップ
酒 大さじ1
豆乳(無調整) 1カップ
白味噌 大さじ2
合わせ味噌 小さじ2~
■作り方
1.鮭は軽く両面を焼いから一口大に切る。大根、人参はいちょう切り、白ねぎは斜め切りする。
2.だし汁で野菜を煮る。
3.野菜が柔らかくなったら、焼いた鮭、豆乳、酒を入れてひと煮立ちさせてから味噌を溶く。
4.お椀に盛り、ネギをトッピングして出来上がり♪
バターが決め手!ベーコンとキャベツのコクうまお味噌汁
引用:レシピブログ「バターのコクがしみじみ旨い!なめことキャベツ、ベーコンのお味噌汁」
ベーコンとバターという洋風の素材をお味噌汁に入れてみたら、驚くほど美味しかった!という洋風お味噌汁です。お味噌汁にバターと言うと、一瞬「うん?」と思いますが、考えてみれば味噌ラーメン+バターというテッパンの組み合わせがあるのですから、味噌汁だって美味しくないわけがない!ですよね。バターとベーコンのコクがキャベツとなめこを包みこみ、ほっこり優しい気分になれるお味噌汁です。
■材料(2人分)
キャベツ 8分の1個位
なめこ 1/2袋(40~50g位)
ベーコン 20g
水 750ml
和風出汁の素 小さじ2
味噌 大さじ2
バター 20g
■作り方
1.キャベツはざく切り、ベーコンも細長く切っておく。
2.鍋にお湯を沸かし、出汁の素と材料を入れて煮る。
3.野菜が柔らかくなったら味噌を溶き、仕上げにバターを入れる。
土井先生のレシピはスマホアプリでチェック♪
土井先生のレシピは雑誌やネットなどでも見ることができますが、今はスマホアプリ「土井善晴の和食アプリ」で簡単にチェックすることができるんです。毎日のおかず、お味噌汁のレシピ検索はもちろんですが、料理のコツや和食の基礎など、コンテンツも充実しています。
味噌汁のでき上がりに大根おろしを加える汁物、「みぞれ味噌汁」ともいわれます。具はなんでもいいのですが、今週の「土井善晴の和食」アプリでは、豚肉とにんじんのみぞれ味噌汁」を紹介中。⇒ https://t.co/xroMMU7egD pic.twitter.com/0STJm0WQZR
— 土井善晴の和食アプリ (@Doi_Washoku) 2017年1月13日
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料理と向き合う気持ちを整えるための本
タイトル:「一汁一菜でよいという提案」(グラフィック社)
著者:土井善晴
価格:¥1,620
土井善晴氏の「一汁一菜でよいという提案」は、レシピ本ではありません。「一汁一菜」という言葉を通して、家庭料理のあるべき姿やそれに向かう心の持ち方などを優しく語りかけてくれる一冊です。料理をすることで起こる気持ちのモヤモヤや辛さなどが吹き飛び、心がラクになるはずですよ。機会があればぜひご一読くださいね!
補足:一汁一菜の実践:メリットとデメリット
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