SNSのトラブルが原因で事件?富田真由さん刺傷事件から考えるべき事
皆さんこの事件を覚えていますか?2016年5月21日に起きた、富田真由さん刺傷事件。まだ記憶に新しい事件ですね。筆者は何度ニュースを見ても、恐怖と怒りに震えます。あってはならない事件…なぜこのような事件が起こってしまったのか。
これはいわゆる「ストーカー殺人未遂事件」ですが、事を悪化させたのはSNSという、皆さんが当たり前に日々使っているコミュニケーションツールです。今回は、この「富田真由さん刺傷事件」の詳細を解説していくと同時に、事件に大きく関わったSNSについて考えてみました。
皆さんにとっても、決して他人事ではありません!ネット社会が進んでいる今だからこそ、真剣に考えて欲しいSNSの問題点でありますので、この記事を読みながら一緒に考えてみて下さい。
Contents
刺傷事件の概要
まずはこの事件の概要をまとめました。世間のツイートも一緒にご紹介します。
2016年5月21日、東京都小金井市でシンガーソングライターの富田真由さんが、ライブ会場前で複数箇所を滅多刺しされ、一時意識不明の重体になった事件。
・犯人はいわゆる富田さんのファンで、富田さんに結婚願望を抱くなど、ファンとしての立場を超えて、過剰な好意を持っていた。
・好意を形に表すように、時計や本などのを贈り物をしていたのだが、富田さんからツイートの返信がこないことでプレゼントを「返せ」と言い出す。
・そのプレゼントを富田さんから本当に送り返されたことで犯人が一変。犯人が強く抱いていた好意が、これをきっかけに憎しみに変わり、恨みを募らせるようになる。
・富田さんは積極的に公式ブログやTwitterのSNSを通じファンとの交流をしていたが、犯人は富田さんを恨む感情からSNSに悪質な書き込みやつきまとい行為をするようになる。
・次第に悪質な書き込みや、つきまとい行為はエスカレートしていき、事件発生前も富田さんは警察に相談。身の危険を感じ警察に相談していたのにも関わらず、この事件が起きてしまった。
犯人の一方的な感情によって募らせた恨みから、SNSによる脅迫や暴言。つきまとい行為などによるストーカー行為。
これらがあったのにも関わず、警察がストーカー被害の相談として扱わなかった事。
被害内容が首から下の部分を20箇所以上も刺したという残虐さ。どれを論点にとっても、非常に悲しい事件です。
音楽活動していた富田真由さん殺害未遂事件の裁判のニュースがやってたから、職場の「親切なおじさん」が「あなたも気を付けなさい」と言い出したので、「あら、彼女は警察にストーカーの被害を相談していたんですよ?何を気を付けろと?警察がしっかり取り締まればいいんじゃないですか?」と返した。
— 椿 (@tubaki_227) February 20, 2017
本人が出来る対策はしていたけど、警察に相手にしてもらえなかったら…。自分は何に気を付けるべきなのだろう。人の気に障らないように相手の顔色伺いながら過ごすこと?それはちょっと違いますよね。
https://twitter.com/l96a134/status/809783154810580992
「憤り」という言葉では表しきれないほど、あってはならない事件でした。ツイートのように、この事件に関してショックと怒りを抱いている方はたくさんいらっしゃいます!
一方的な結婚願望
この事件の発端は、富田さんのファンである犯人の過剰な好意から始まりました。ファンという応援する立場では物足りず、強い結婚願望を抱いていたようです。
富田さんへ本や時計など、高価なモノをプレゼント。ですが、富田さんからのツイートの返信がないことでそのプレゼントを「返せ」と言われ、富田さんは返送したそうです。
筆者が富田さんの立場になって考えてみても、同じことをしますね。犯人の人柄云々関係なしにしても「返せと言われたら、もちろん返す…(むしろ貰ってしまったら、その代償が怖い)」と思うでしょう。
犯人はプレゼントを送り返された事で、富田さんへの愛が憎しみへと変わってしまいました。SNSへの悪質な書き込み、つきまとい行為を繰り返すようになってしまったのです。
好きな人が振り向いてくれない…。そのもどかしさや辛みはわかりますが、そんなに好きになった人に対し、嫌がらせなどをするのはちょっと違いますよね。
https://twitter.com/micha_following/status/836002877059424256
歪んだ愛情…。犯人はどんな愛を受けて育ったのだろう?と考えずにはいられません。愛情の履き違えですね。
愛が憎しみへ変わり、犯行に及んだ
これはあくまでも筆者の憶測にすぎませんが、「大好きな女性が自分の好意を受け止めてくれない」「こんなに自分はあなたを想っているのに…なぜあなたは自分を見てくれないんだ」といった感情があの事件を起こしてしまったのではないでしょうか。
富田さんはアイドル活動やシンガーソングライター(アイドル)として活動していく中で、ファンと言う存在はとっても励みになる人たちだったでしょう。応援してくれるファンの為にも「頑張ろう」と思えることだってあるはず。
しかし、そのファンの一人にこんな悲惨な目に合わされた…。刃物で滅多刺しにされるだけも想像を絶する恐怖と痛み。
それに加えて「自分を応援してくれていた人(ファン)」に刺されるとは…。彼女の体と心の痛みは計り知れないです。今も尚、後遺症やPTSDで苦しんでいる富田さんが少しでも安心して暮らしてくれることを祈るばかりです。
富田真由さんのその後は…?
さて…。富田真由さんはその後どうなったのか気になる方もいらっしゃると思いますので、まとめてみました!
・事件直後は、一時心肺停止という生死すら不安な状態だった。
・しばらくの間、意識不明のまま…。目覚めたのが二週間後と言われている。
(本人もご家族もこの二週間、きっと生きた心地しなかったでしょうね。)
・一方、この間にSNSでガセネタが独り歩きしてしまう。
(一番多かったのは「富田真由は失明」という内容ではないでしょうか。)
・外傷として、顔、首、手、腕などにキズが残っている。
(キズが目立たないようにするための手術をしたと言われています。また女優業はもう絶望的だと本人も相当肩を落としている状態)
・当初、大量出血から脳梗塞も発症し、視野狭窄(左目)を患った。
(視野が狭まったために、好きだった読書も思うように楽しめないでいる。)
・2016年12月に富田真由さんの手記が発表された。
(全文を読みましたが、主に警察に対する怒りを交えた想いを書かれていました。なぜあんなにも恐怖や不安を相談していたのに、メモも取らずに聴いていたのか…という事に改めて怒りを感じたというような内容です。)
2017年2月に裁判がありましたが、生々しい事件当時の事や今後遺症に苦しんでいる事などが語られていて、どれだけ彼女の人生が変わったのかを察しました。
この事件の軽視できない問題点
ここまで事件について書いてきましたが、この事件にはもっと考えなければならない問題点があると筆者は考えています。決して他人事ではありませんので、自分と照らし合わせながらご覧ください。
SNSを通じてのコミュニケーション
今やSNSを通じてコミュニケーションを取るのは当たり前の世の中です。簡単に相手の近況を知ることが出来ますし、全く知らない世界中の人とも知り合いになれる。大変便利であり、交友の幅も広げることが容易になりました。
この事件の被害者となった富田さんもSNSを通じてファンとの交流をしたり、ライブなどの告知も行っていました。それが決して悪いことではありません。有名な芸能人だって、いわばSNSは仕事の一環みたいなものです。
SNSの危険などは後述しますが、誰でもアカウントさえ持っていれば相手に自由に発言が出来る。言葉を悪くして言うと、相手の気持ちなど一切考えずに、一方的なメッセージを送る事も可能です。富田さんもプレゼントを犯人に返したことで、SNSに悪質な書き込みをされるようになってしまいました。
そのコメントは誰でも見ることが出来るので、誹謗・中傷をファン全体にさらけ出されている事になりますよね。もちろんファンだけではありませんが、これってみんなの前で悪口を言われているようなものです。
今、学生の間でもSNSを使ったいじめが問題視されていますが、この事件はSNSからエスカレートしていったので決して他人事ではないです。
https://twitter.com/ZOO1919/status/747908550312112129
こんなツイートも見受けられました。ファンとしては悲しいですよね…。
ファンとアイドルの近すぎる距離
SNSが普及する前の芸能人は、TVや映画・雑誌などで見ることしかできませんでした。遠い憧れの存在と言えます。決して、自分たち一般人にとって身近に感じることは少なかったですよね。
でも今はSNSを通じて、ちょっとしたコミュニケーションが取れるようになりました。「どんなものが好きなのかな?」「どんな食事をしたらそんなに美人になれるの?」と言った、その人の嗜好や生活なども垣間見えます。
現代では、SNSの反響などが「直接的なファンの声」とみられており、良くも悪くも反響がある人がTVで話題になる。ファンとの直接コミュニケーションが取れる事によって、自分の宣伝活動もしやすくなったでしょうし、ファン側もより身近に感じられる芸能人に対し、応援したくなる気持ちが割り増しされます。
この事件を例にとってみると、このファンとアイドルの近すぎる距離が錯覚を起こしたと言えるのではないでしょうか。特に富田さんはまだ知名度も低く、こういったファンとのコミュニケーションを通じて、より多くのファンを獲得するように頑張りますよね。
SNSで自分が発言した内容に、大好きなアイドルが返信したら…。人によっては、犯人のように「結婚も夢じゃないかも?」と考えてしまう人もいるでしょう。筆者は決して富田さんが思わせぶりな事を言ったとは思ってないですが、誰でも好きな人には期待してしまうもの。これは芸能人だけの問題ではなく、我々にも同じことが言えます。
誰にでも起こり得るSNSによる危険
ここからはこの事件を教訓に、SNSの危険について詳しく書いて行こうと思います!普段何気なしに使っているSNSですが、今一度、SNSの使い方について考えて見て下さい。
今どこにいるか特定しやすい
まずSNSをリアルタイムで投稿している人は、居場所を特定しやすいです。自分で「今○○でご飯食べてます」などと書き込めば、近場に住んでいる人ならすぐに相手がどこにいるのか分かりますよね。場所を書いていなくても、SNSにアップした写真を見てわかる人も居ます。
今回富田さんは事前に予告していたライブ会場前で刺されましたが、このような宣伝もその人の行動や居場所を特定出来る要因になります。気の合う友達なら知られても全然構わないような内容も、全く関係のない人にも知らせてしまうことがあることを頭に入れておいてください。
詳しい個人情報を探られる場合がある
自分では意図しないところで、SNSから個人情報が流れている可能性があります。例を挙げるとFacebookでは、実名での登録が基本的に原則。生年月日や、出身校、勤務先、出身地、居住地などを登録することが出来る。疎遠だった学生時代の友達と再会できるという意味では大変嬉しい機能です。
しかし、これは詐欺師などに個人情報を提供していることにもなりますね。現住所を登録しないことはもちろんのこと、職場の情報を載せていればその人の居場所を確実に特定できる内容になってしまうので、プロフィールなどの登録には細心の注意が必要です。
また、自分で登録するプロフィール情報だけではなく、アップした写真などから意図せずに位置情報を公開していることも。SNS内の「位置情報機能」をオンにしていると、その写真を撮った場所、SNSを投稿している場所を無意識にアップしてしまうことになります。
SNSの機能だけではなく、スマホなどで撮影した写真でもGPS情報が記録されている場合があります。筆者のiPhoneを見て見ると、なぜか勝手に撮影場所が記録されている写真が数枚ありました。もちろん、設定などはしていません。こういったスマホやデジカメの機能から居場所などの情報が流れてしまうこともあるんですね。
詐欺師など犯罪者だけではなく、個人情報を知られたくない人にも情報を意図せずに公開している場合があります。今一度、スマホの機能やSNS内の位置情報機能を確認してみて下さい!
キャッチボールのない誹謗・中傷の書き込み
https://twitter.com/sina1207/status/735629855933366273
SNSでは人にコメントを求めている場合と、さほど求めていない場合がありますよね。要するにただの「つぶやき」の場合です。それが誰かの目に触れることでコメントが発生したりするのですが、メールやLINEと違って言葉のキャッチボールを視野に入れないでコメントする場合が多いように感じます。
誹謗・中傷などの悪質な書き込みはもちろんのこと、あり得もしない事実を言われてしまったり…。いくらリアルタイムの書き込みでも、面と向かって会話をしているわけではないので、相手が目の前に居たら絶対に言えない事も言えたりします。
たまに汚い言葉を使ってSNSを書き込んでいる人も見受けますが、実際の人物はそんなキャラじゃなかったり…ってことありませんか?それはアカウント上のキャラでもあるので、個性があって良いと思います。
でもそうではなく、悪意を持って誹謗・中傷をする人がいる事実。実際には言えない卑劣な言葉も、SNSでは無責任に発言できるので、簡単に人を傷つけることが出来てしまうという現実も、心しておかなければなりませんね。
知らない人と簡単に友達になれる
日常では決して出会えないような人でも、SNSを通じて友達になることが可能です。同じ趣味を持っている人や、同じような悩みをもった人と気持ちを共有することも出来る素晴らしいツールです。身近な人には話せないようなことをつぶやく場としてアカウントを作る人も居ます。
利用者みんなが快くルールを理解して利用しているなら良いのですが、悲しいことにそれを悪用しようとする人もいます。上手に相手から金銭を引き出そうとしている人もいれば、その人の個人情報を悪徳業者に売る人もいる。
男女間では、ただの性的関係だけを望んで居たりすることも。もちろんその限りではありませんが、万が一の可能性として視野に入れてSNSを利用しましょう。
SNSでのトラブル事例
実際に、SNSでどんなトラブルがあるのか。事件に限らず、身近には色々なトラブルが潜んでいます。それをいくつかご紹介しますね!
【事例】
・飲食店でアルバイトしていた店員が「●●(食事)に異物を混入した」などと嘘のツイートを投稿し、炎上。
→本人は面白半分でこのようなツイートをしたのかもしれませんが、これはそのお店の評判を落とすことにもなるのでツイートした本人だけの問題ではなくなります。お店の名誉挽回だって大変ですよ。
・不動産会社の方が、「ある芸能人夫婦(しかも名指し)が物件を探している…」などという個人情報をSNSに投稿。
→芸能人に限らず、このように自分の意図しない所でも自分の個人情報がばらまかれてしまう可能性もあるのです。特にSNSで知り合った人には、安易に住所や本名などの個人情報を教えないようにしましょう。
・FacebookやLINEなどのアカウントを乗っ取り、本人になりすまし、その友人などから金銭価値のあるものを引き出す被害が増えている。
→これはニュースなどでも取り上げられているので、皆さんご存知でしょうが「自分の代わりにコンビニでビットコイン○万円分買って、その番号を送って欲しい」という手口が有名です。筆者もこちらのなりすまし被害を経験したことがありますが、犯罪者も日々手口を変えて粘っているので、皆さんも気を付けて下さい!
・友人や子供たちの写真を勝手にSNSに投稿し、人間関係がギクシャクした。
→これはついやってしまいがちな事なんですが、やはりSNSというのは色々な人が見ているものなので、自分は良くても友人などの相手は公開して欲しくないこともあります。特に子供の写真などは要注意です!公開する前に相手にきちんと了承を取った上で、写真は顔を隠すなどの加工を加えるようにしましょう。相手の情報を保護するマナーも必須です。
ここに挙げた例はごく一部にしか過ぎませんが、SNSというのは今の私たちにとってとても身近で手放せないものだからこそ、それぞれが注意をしながら使用したり、マナーを守って使う事が大切です。思わぬ事が富田真由さんのような事件に発展するかもしれません。気を付けましょう!
リスクと危険を知った上でSNSを利用しよう!
今回は「富田真由さん刺傷事件」から、SNSの危険について書いてきました。この事件は、本当に心が苦しくなる内容ですよね。そして、誰にでも起こり得るSNSの危険性を教えてくれた事件でもあります。
SNSでの発言の自由は、決して自由に人を傷つけていいという意味ではありません!相手の顔が見えなくても、相手が誰か分からなくても、誹謗・中傷をするその先には必ず傷つく人がいるという事を忘れないで下さい。
そして、改めて「SNSを利用するにはリスクや危険も伴う可能性がある」ことをしっかり肝に銘じましょう。これからSNSデビューするお子さんがいるのなら、お子さんの心と体の危険を守るためにもSNSのリスクについて教えてあげて欲しいです。
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