初めてのプレゼンを成功させるコツとは?ー上手な構成と資料作り編
プレゼンの目的とは「聞き手の心を動かし行動させること」。初心者にはかなりハードルが高いですね。プレゼン上手になるためには、押さえておくべきコツがいくつかあります。
プレゼンの構成、資料作成、話し方、そして当日の緊張対策まで、それぞれのコツを連載形式で紹介していきます。始めてプレゼンに臨む人、プレゼンは苦手という人はぜひ参考にしてください。
第1回目の今回は、プレゼンの構成と資料作りのコツです。
プレゼンテーションとは
プレゼンテーションとは、「企画、提案、商品、見積りなどを顧客や社内の関係者に発表、説明する」ことで、略して「プレゼン」と言います。
「プレゼン」と言われてパッと思い浮かぶのは、業界関係者や報道関係者など何百人もの聴衆を招いて行われる企業の新製品発表会。米アップル社の創設者であるスティーブジョブズ氏の天才的なプレゼンが、アップル製品の魅力を何倍にも増幅させ聴衆を魅了したのは有名な話ですよね。最近では、スペシャリストによる講演会TED Talksなんかも人気がありますね。
「TED Talks」って何?という方はこちらの記事を参考にしてください。
⇒人生を楽しむコツ!TEDから学ぶ”考えの転換”で毎日が面白くなる
プレゼンテーションとは、「贈る・差し出す」という意味のpresentが語源であることからもわかるように、単なる情報伝達ではなく、「相手(聞き手)にメリットを与える」ことでなければなりません。「相手(聞き手)の心を動かし、行動を起こさせる」ことがプレゼンテーションの目的です。
ジョブズのように大観衆を前にプレゼンする機会は中々ないと思いますが、お客様に商品の説明をしたり、ちょっとした社内の発表会など、テーマや構成を決めて聞き手に説明をする機会は多かれ少なかれありますよね。商談を成功させたり上司を納得させるための鍵は、プレゼンテーション能力の高さです。
プレゼンの構成の仕方ー6つのコツ
まず真っ先にやるべきは、プレゼンの構成を決めることです。構成はプレゼンの「幹」となるもの。上手いと言われるプレゼンのテクニックには様々なものがありますが、いくら枝葉を磨いても、幹がしっかりしていなければ聞き手の心を動かすことはできません。
テーマを明確にする
プレゼンの構成を考える時には、まず3つのPを分析し戦略的にテーマを決めていきましょう。
3つのPとは、1.PEOPLE(聞き手)、2.PURPOSE(目的)、3.PLACE(実施場所)です。
一つ目のP、聞き手は誰なのか? これは最も重要なポイントです。プレゼンというと、ついつい自分の主張だけを語ってしまう人が多いのですが、プレゼンは自分を伝える場ではなく、相手にメリットを与える場です。聞き手は何に困っているのか?何を聞きたいと思っているのか?何にメリットを感じるのか?などをしっかり分析しておきましょう。
二つ目のP、目的は何なのか? プレゼンテーションの目的は、「聞き手の心を動かし、行動を起こさせること」です。
例えば、商品の売り込みのためのプレゼンであっても、聞き手が決裁者なのか、その部下なのかによってもメリットを感じる部分は違いますよね。聞き手によって落としどころ=ゴールが変わってくるはずです。
1回のプレゼンで購入まで持っていきたいのか?決裁者に取り次いでもらうためのプレゼンなのか?目的を明確にした上で、相手に行動してもらうために何が必要かを考えてみましょう。
三つめのP、場所はどこでやるのか? 商談スペースのような狭いスペースで行うのか?会議室でプロジェクターを使って説明するのか?それとも大会議室のような広いスペースで数十人を前に行うのか?など実施場所や設備によって、資料やスライドの準備、作り込み方などが変わってきます。
実施場所の情報は事前に集めておきましょう。自社で行う場合は、下見をして設備などの確認をしておくのがベストです。
やみくもにプレゼンの内容を考えるのではなく、3つのPの分析を丁寧に行うことで伝えるべきテーマが明確になってきます。
場所は社内の会議室。プロジェクターを使うからパワポのスライドと、後々ライターさんに説明するために配布用の資料も必要になるはず。
プレゼン初心者はフォーマットを利用するのが早道!
わかりやすいプレゼンを行うには、決まった型=フォーマットに則った構成にするのが早道です。
「型通りなんて面白味に欠けるのでは?」とか「オリジナリティを出したい!」など個人的な思いは色々あるかもしれませんが、突飛な構成は往々にして失敗しがち。気合を入れたつもりが、独りよがりでわかりにく構成になってしまいます。
また、聞き手もフォーマット化されたプレゼンを想定して聞く準備をしているので、それから外れた構成だと違和感が先にたって内容がすんなりと頭に入ってこないなんてことにもなりかねません。
プレゼン初心者は、まず先輩や上司が作ったプレゼン資料データをもらい、そのままフォーマットを流用して作成してみるのが手っ取り早い方法です。企業によっては、提案書や企画書などのテンプレや文書作成の細かなルールが決まっている場合もあります。既存のフォーマットを利用すれば、社内のルールも同時に覚えることができますよね。
一般的なプレゼンの構成
構成の代表的なフォーマットを紹介しましょう。
SDS法(Summary Details Summary)
Summary(概要)→Details(詳細)→Summary(まとめ)の順で話すというフォーマットです。
<構成例>
(詳細)このDASoftはこれまでのスマホに比べてセキュリティ機能が非常に高くなっています。パスワードによる画面ロックだけではなく、瞳や指紋を使った生体認証機能が追加されました。
この他にも ~中略~ など様々なセキュリティ機能を備えています。
(まとめ)生体認証機能がついた新型スマホDASoft。これなら万が一紛失した場合でも安心です。
このようにSDS法は、最初に全体像や概要を伝え、詳細を詳しく説明し、最後にまとめとして結論を提示する形になるため、ある程度の時間をかけてじっくりとプレゼンが出来る場合に適しています。
PREP法(Point Reason Example Point)
Point(結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(まとめ)の順で話す方法です。
<構成例>
(理由)この新型スマホには、パスワードによる画面ロック機能に加え、瞳や指紋による生体認証機能がついているんです。
(具体例)スマホには、個人情報、写真・メールなど人には見られたくない情報が詰まっていますね。パスワードによる画面ロックだけでは不安になることはありませんか? ~中略~
(まとめ)この新型スマホDASoftDASoftはセキュリティを重視される方におすすめです。
PREP法は、まず結論から話していくため論旨が明確で報告会や短い時間で行うプレゼンに適しています。起承転結がつけやすいので、初心者向きのフォーマットです。
DESC法(Describe Express Suggest Consequence)法
Describe(描写)→Express(意見)→Suggest(提案)→Consequence(結論)の順で話す方法です。
<構成例>
(意見)しかし、「危険は承知しているけど、面倒なのでパスワードを設定していない」という人も多く、また、きちんと設定していたとしても、数字を入力するようなパスワードは専門家の手にかかれば簡単に解除されてしまいます。
(提案)そんな時に便利なのが、新型スマホDASoftに搭載された生体認証機能です。この機能を使えばパスワードを入力しなくても、簡単に個人認証が行えます。
(結論)この新型スマホDASoftは、セキュリティを強化したい方におすすめです。
このようにDESC法では、事実を元に課題を抽出し解決策を提示していくため、商談や企画提案などに適したフォーマットと言えます。
目次を作ってみよう
構成のフォーマットを決めたら、目次を作ってみましょう。パワーポイントでスライドを作成する場合、タイトル、目次、内容、まとめの順で構成していきますが、内容を作ってから最後に目次のページを作るという人が多いかもしれません。
「ページ数の割り振りなどは作ってみないとわからない」ということかもしれませんが、1ページづつ作り込んでいくと、様々なアイデアが浮かんできて、あれもこれも盛り込みすぎてしまったり、知らず知らずのうちにバランスの悪い構成になってしまうことがあります。
まず目次を作って、余分なトピックが入っていないかを確認し項目を整理してみましょう。そしてスライド1枚に対して2~3分を目安にし、項目ごとのスライド枚数の割り振りを決めていきましょう。こうすることで、バランスのよい構成を効率的に作ることができます。
「つかみ」を考える
聞き手が最も集中しているのが、プレゼンのオープニング20秒程度と言われています。 この短い時間に聞き手の心を引き付けることができれば、そのプレゼンは成功と言えるでしょう。
聞き手が身を乗り出して聞きたくなるような「つかみ」のコツは3つ。
1.インパクトのある質問からスタートする
「スマホの盗難事件って、1日に何件ぐらい発生していると思いますか?」 というように聞き手が一緒に考えてくれるような質問を投げかけると、共感性や一体感が生まれてきます。
2.ショッキングな事実を伝える
「サンフランシスコの強盗事件の50%はスマホを狙ったものだそうです」「イギリスでは1日2000台のスマホが盗まれているという報道がありましたが…」など、統計や数字を使ったショッキングな事実を伝えます。事実や数字などの客観的なデータをあげることで、プレゼンに説得力が出てきます。
3.コアメッセージに関連するパーソナルストーリーを話す
「実は今、非常に心配なことがあるのです。それは妻が私のスマホをこっそり盗み見しているのではないか?ということです。」というような個人的な話を盛り込むことは、聞き手に親近感を与えることができます。
ただし、顧客が相手の場合は、ジョークは控えたほうが無難です。プレゼン内容が軽いものに聞こえてしまうし、冒頭でスベッた場合のダメージは計り知れないものがあります。
特長ではなくベネフィットを伝える
プレゼンは聞き手にメリットを与えるものでなければなりません。ただ特長を羅列するだけのプレゼンは、売る側・説明する側が考えるメリットを提示しているだけで、聞き手にとってのメリット=ベネフィットとは言えません。
製品の特長を、聞き手のメリットに置き換えて伝える必要があります。そのためには、聞き手が抱えている課題や問題点などを想定し、具体的にイメージしやすい言葉に置き換えてみます。
例えば、「スマホに生体認証の機能が付いた」のは単なる製品特長です。だから「パスワードの入力をしなくてもセキュリティが強化できる」だから「簡単に使える」「盗難にあっても安心」というように聞き手の視点にたって「だから●●」と連想していくことで、聞き手のベネフィットにつなげていくことができます。
プレゼン資料の作り方ー4つのコツ
プレゼンには、レジメと言われる配布資料やスライドを使った演出がつきものです。パワーポイントのスライドをそのまま配布資料として使うケースや、パワポを使わずに配布資料だけでプレゼンを行うケースなどがありますが、イメージ画像やグラフデータなどを上手に使えば、聞き手の視覚に訴える効果的なプレゼンが行えるようになります。
また、パワポの枚数は、「構成のコツ」にも書いたとおり1枚で2~3分が目安になるので、持ち時間から逆算して必要な枚数を考えるとよいでしょう。
テーマに合わせて統一感のあるデザインにする
パワーポイントには、様々なデザインテンプレが用意されていて、それぞれテーマごとにフォントやカラーなどがセットされていますね。それをそのまま使用すれば、統一感のあるデザインの資料を簡単に作ることができます。
会社のフォームを使ったり、自分で作る場合の注意点は、出来るだけシンプルにすること。複数のフォントを多用したり、カラフル過ぎるスライドは、かえって聞き手の集中力を妨げることになります。
フォントは本文、見出し、強調したいワードなどで使い分けるとしても、せいぜい3種類程度。色もベースカラー、テーマカラー、アクセントカラーの3色程度に抑えたほうが統一感のある見やすい資料になります。
注意したいのは、印刷した時、特にモノクロ印刷してもちゃんと文字が見えるかどうか?です。経費節減で配布資料はモノクロ印刷になったり、2段組みの縮小印刷されるケースも多いですよね。せっかくきれいに作った資料も、読めなければ意味がありません。
大きな文字で見やすく!詳細を書き込み過ぎないこと
プレゼンの聞き手は、あなたの言葉を聞きながらスライドや資料見たり、場合によってはメモをとったりしています。意外と忙しいものなんですね。
こんな時に、小さな文字の見にくいスライドを投影されると、疲れは一気に倍増!とたんにプレゼンを聞く気持ちが失せていってしまいます。資料に詳細が書かれていれば、確かにメモをとる手間は省けるのですが、手元の資料を見ればあなたのプレゼンを聞く必要がないということで、聞くよりも読むことに集中してしまうことになります。
プレゼン資料は、
- 重要なワードは大きな文字でインパクトを持たせること。
- 要点をまとめ、できるだけ簡潔なワードにすること。
- 説明や詳細などを書き込み過ぎないこと。
がポイントです。
また、上手いプレゼンには、必ず印象的な見出しが出てきます。
例えば
「スマホの盗難率とは」→「あなたのスマホが狙われている!」
「高いセキュリティ機能」→「圧倒的なセキュリティ機能」
など、聞き手が「おっ?」と思うようなキャッチ―な見出しを考えてみましょう。
アニメーションに凝り過ぎない
パワポのアニメーション機能は、聞き手の興味をひきつけプレゼンに躍動感を与える非常に便利な機能です。しかし、パワポのスキルが高い人やプレゼンに慣れている人以外は、アニメーションに凝り過ぎないほうが無難です。
しゃべりに合わせたアニメーションを作るのは、なかなか難しく時間もかかります。また、苦労してアニメーションを作っても、本番で思い通りに動かなければそれだけで焦ってしまいますね。
下手なアニメーションの連打は、プレゼンそのものが陳腐なイメージになってしまう危険性があります。プレゼン初心者のうちは、強調したいワードにのみアニメーションを使用してみましょう
プレゼンのパワポは「タイトル」と「締め」で決まる!
プレゼン当日を想像してみてください。タイトル画面は、聞き手が入場してからプレゼンがスタートするまで、比較的長い時間表示されているものですね。
これを利用しない手はありません。プレゼンの目的がストレートに伝わり、聞き手がベネフィットを感じられるようなインパクトのあるタイトルを作りましょう。長々としたタイトルにはせず、できるだけコンパクトにするのがおススメです。
そしてタイトルに続く「目次」のスライドでプレゼンの概要ーアジェンダを説明していきます。
また、意外と忘れがちなのが締めのスライドです。プレゼンの最後が決まらずにグダグダになってしまったり、スライドが標準モードに戻ってしまい見せる必要のないノートペインが表示されて慌ててしまうなんてこともよくある話です。
締めのスライドには、「まとめ」として要点を箇条書きにして、再度表示する「繰り返し」のテクニックや、「問い合わせ先」などを表示しておく方法などが一般的です。
まずは基本を身につけよう!
いかがでしたか?初めてのプレゼンを成功させるための構成のコツ・資料作成のコツをご紹介しました。
プレゼン上手になるための最初のステップは、プレゼンの基本形を覚えて、まずはその通りにやってみることです。慣れてきたら、徐々に自分のオリジナリティを追加していきましょう。
また、今回ご紹介したプレゼンのコツは、通常の商談や社内の報告会などでも役立つものだと思います。簡単なポイントから試してみてくださいね。
次回の記事は、「初めてのプレゼンを成功させるコツとは?ー上手な話し方と緊張対策編」として、人前で話すときのポイントや緊張を和らげる方法を紹介します。お楽しみに♪
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