海外と日本の子育ての違いとは?母親に厳しすぎる日本の子育て環境
「保育園落ちた日本死ね」という悲痛な叫びが、2016年の流行語に選ばれる程、保育園不足に悩まされている日本。育児と仕事を両立したいと考えている母親には、厳しすぎる現状です。
今回は、日本と筆者の暮らすイギリスの子育ての違いについて迫りたいと思います。
Contents
海外の保育園・幼稚園事情
その後たまたま引越しをして、運よく新居の近くの認可保育園に入れたんだけど、決まるまでは本当に大変だったわ。
JNNが関東1都3県の保育所不足が深刻な自治体を対象として行った認可保育園の申し込み状況によると、回答のあった22の自治体での2017年度の入園内定率は66%だったそうです。
内定率が最も低かったのは江戸川区で、内定率は46%というかなり厳しい結果でした。
画像引用元:東京23区保育園マップ
昨年2016年度の23区内の待機児童数を見ても、かなりの数の児童が保育園に入れていないことが分かります。
保留(不承諾)通知が各地で届き始めてから4ヶ月。4月を過ぎて2か月。保育園に入れなかった人や諦めて申込みをしなかった人は、いまどんな状況になっているのでしょうか。
— みらい子育て全国ネットワーク(miraco | ミラコ | みらこ) (@hoikuenhairitai) June 5, 2017
気付けば、認可保育園入るの諦めて、認可外も諦めた。もし万が一、次の手段の一時保育もうまくいかず諦めたら、その次は働くことを諦めなきゃいけないのか。なんだこの負の連鎖は。なんでこんな諦めなきゃいけないんだ。#待機児童 #保育園落ちた2017 #働きたい
— しろ (@em18ko15) June 13, 2017
保育園数が足りていないのは一目瞭然ですが、新しい保育園を建設しようにも周辺住民からの反対もあったりして中々難しいのが現状です。
世田谷区に行ったら地域の掲示板にこんなポスター。うちの区では見たことない。効果のほどは分からないけど、区のやる気は感じる。ひるがえって……ため息 #保育園に入りたい #保育園落ちた2017 #待機児童 #0歳児 pic.twitter.com/dXKlowAQ4h
— リサのライオン (@lion_de_lisa) June 14, 2017
出産前に保育園へ申し込む
イギリスで0歳児から入園出来る一般的な保育園(デイ・ナーサリー)は、日本でいう認証保育園に近く、自治体ではなく民間企業が運営しています。その為、入園の申し込みは保育園に直接行います。入園時期は決まっていないので随時申し込みをするのですが、やはり数が限られているので、通わせたい年齢ギリギリで申し込みをすると既に募集枠が埋まってしまっていることも。
そこで、絶対に通わせたい人は妊娠が発覚した時点で保育園の申し込みをあらかじめ行います。ウェイティングリストと呼ばれるものがあるので、そこに名前を載せておいてもらうことで、枠を確保出来るのです。(※低所得者向けに公立保育園も一応あるが、一般的ではないため私立保育園のシステムのみ紹介しています。)
保育時間もフレキシブルで、月~水曜日は朝~夕方まで、木曜日は午前のみで金曜日は休み、なんていうのもOKです。
気になる保育料金は?
これだけ聞くと、日本よりも保育園事情に優れているように感じますよね?でもそうでもないんです。というのも、問題は保育料金。イギリスの保育料金は、とても高いのです。
地域や運営会社によって多少の差はありますが、うちの息子が通ったロンドン北部の保育料は
0~2歳児クラス | 半日(8:00~13:00) | 1日(8:00~18:00) | 1ヶ月(1日保育×週5) |
¥5,540 | ¥10,218 | ¥216,177 |
(※£1=¥138で計算)
3歳から無料に!
イギリスの義務教育のシステムは日本と少し異なって、日本の小学校1年生にあたるYear 1は5歳からスタートします。その前の準備段階として、3歳からナーサリーが週15時間無料で通えます。
無料なのは週15時間分のみなので、フルタイムで働く母親は公立ではなく私立のデイナーサリーを引き続き利用して差額分を払うことになります。
ちなみに、無料になる時間数は住んでいる区によって異なるのですが、筆者が住んでいる区では2017年度の入学から週30時間無料になるそうです。
4歳になると、レセプションと呼ばれる小学校付属の入学準備クラスに入ります。こちらは、約6時間×週5日で公立であれば基本的に全額無料です。区によっては、給食費も無料です。
海外でもベビーカーは嫌われる?公共交通事情
もう一つ、日本で問題になっていることといえばベビーカーですよね。「ベビーカーで電車に乗るな。」「通路が塞がってしまうから、ベビーカーでショッピングするな。」ととにかく邪魔者扱いで母親には厳しい現状です。
ロンドンはどんな感じなの?
ロンドンの地下鉄・バス
ロンドンも東京と同じく地下鉄が発達しているのですが、座っていない時は畳まれるタイプの座席が各車両に大抵あるので、地下鉄でもベビーカーを置くスペースに困りません。
画像引用元:The Skibbereen Eagle
ベビーカーでバスに乗る場合は、車椅子用のスペースにベビーカーを置くことが出来ます。もちろん車椅子優先なので、車椅子の方が乗っている場合は使えませんが、それ以外は通常2台まで子供を乗せたままでベビーカーを置けます。
by popolon
ご存知のようにロンドンはバスがとても発達していて便利なので、ベビーカーを使っている母親のお出掛けの強い味方です。
泣いている赤ちゃんの文句を言う人も今のところ見た事がないです。また、妊娠中もそうでしたが、息子と電車などに乗ると積極的に座席を譲って下さいます。
京王線の思いやりゾーンは橋本発だと10両車両の場合2号車、新宿発だと9号車。ベビーカーそのまま乗れるで楽チンよ♥
ってことで実家に帰る!!明後日はばーちゃんの四十九日ナムー(-ノ-)/Ωチーン#ベビーカー #電車 #子連れ pic.twitter.com/Tpg1EHHobG— むぎ (@_mugi_tan) May 27, 2016
自転車というとロードバイクタイプがほとんどなので、通勤に利用する人は多くても、日本のように子供を後ろに乗せて走っている人はほぼいません。ちょっとした買い物や幼稚園の送り迎えで自転車という選択肢がないのが、ちょっと辛いですね。
海外の子育てスタイル
国によって、子育てのスタイルや考え方も異なります。具体的に日本と欧米では、どう違うのか比べてみましょう。
寝かしつけ
日本では、だいたい幼稚園くらいまで母親が寝かしつけをしていることが多いようです。また寝かしつけを卒業しても、寝室は母子同室という場合がほとんどですよね。
欧米では、日本でもよく知られているように、子供が小さいうちから別室で寝る場合がほとんどです。だいたい生後6ヵ月くらいから、寝かしつけを行わず一人で寝かすようになります。子供と一緒に寝ないことで、母親がゆっくり眠ることが出来るというメリットがあります。
夫婦だけで外出する
日本では、子供が生まれると、夫婦でデートするという機会があまりありませんが、欧米ではベビーシッターなどに子供を預けて、夫婦だけでデートを楽しむというのが一般的です。時々、子供抜きの時間を夫婦で楽しむことで、リラックス&愛情をキープする効果があるようです。
欧米では、「大人」と「子供」の線引きをしっかりとして、子供の自立を早くから促すと言われていますが、それが結果的に母親の負担を軽くしているように思います。日本の母親は、何事においても子供を優先しますが、こちらの母親は、子供を理由に自分の欲求を抑えるということをあまりしません。どちらが良いとは一概には言えませんが、頑張り過ぎてしまう傾向にある方は、欧米スタイルの子育てを参考にして少し肩の力を抜いてみて下さい。
子供を育てやすい環境とは
イギリスと日本の子育ての違いを、実体験を交えて紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
まず妊娠~出産時に関しても、イギリスの医療システムのおかげで基本的に全て無料ですし、出産も無痛分娩が主流なので母体への負担が少なくて済みます。産後も日本のように、1ヵ月は休めということもなく乳児との外出も自由です。
先ほどもお伝えしたように、電車などで赤ちゃんが泣いていても嫌な態度を取られません。ベビー・キッズフレンドリーなカフェやレストランも多いので、母親も子連れで息抜きにお出掛けをしやすいです。日本のように、子連れだから肩身が狭いということはほぼなく、逆に子連れだから優遇してもらえることが多いように感じます。
最近の日本における子育てのしにくさは、本当に残念でなりません。
とはいえ、筆者も子供を持つまではその大変さや、周囲のちょっとしたサポートの有難さについて考えたことはありませんでした。保育園不足に関しては、中々すぐに改善出来る問題ではありませんが、周囲からのプレッシャーに関しては一人ひとりの意識の改革によって改善することが出来ます。
ネットの発達のおかげもあって、日本は子育てがしにくいという母親たちの苦痛が表面化し、子供が居ない人もその実態を知る機会が少しずつ増えてきています。これを機に多くの人が日本の子育て状況を考え、改善に繋がっていったら良いなと思います。
bitomos編集部プロフィール
そのライターの経歴や性格を知れば、今後どんどんbitomosの記事を読むのが面白くなるかも!?この記事ではライターそれぞれの自己紹介と、記事を彩るゲストキャラクターたちを紹介していきます。あなたのお気に入りのライターが見つかりますように♡