言語発達遅滞とは?遅れに気づいたときに親が一番最初に考えたいこと
「あれ、うちの子まだ喋らない…」と自分の子どもの言葉の遅れが気になったとき、自閉症などの障害を心配するママも多いのではないでしょうか。もちろんその可能性も否定できませんが、意外と身近なことが原因で言葉の発達を妨げていることが多々あります。色々と不安を積もらせる前に、まずは環境から見直してみませんか?
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言語発達遅帯とは?
あまり聞き慣れない言葉かも知れませんが、年齢相当の水準から見た言葉の遅れを専門的用語で言語発達遅帯(げんごはったつちたい)と言います。通常言葉を話すためには、入力面である「言語理解力」と出力面である「言語表出力」の2つの力が必要となります。言語発達の遅れが気になる場合は、どちらかに問題があると考えるのが一般的です。
一般的に、1~2歳程度の子どもの言語を理解している言葉は、言語を使うことのできる言葉の10倍程度あると言われています。
言語の発達には個人差がある
通常1歳前後から意味のある言葉※1語文を発言するようになり、そして2歳頃から名詞と動詞を使った2語文を話すようになります。しかし、まだ幼い子どもは咽頭部の発達が未熟であったり、舌をうまく動かすことができないなど、言葉の発達は個人差があります。よって明らかな疾患が認められる場合を除き、1歳前後で言語発達遅滞と判定することは難しいと言われており、2~3歳児健診などで指摘されるケースが多くあります。
・2歳までに発語がない。
・3歳までに2語文が出ない。
・発語はあるがあまり言葉が増えない。
・出ていた言葉が消えた。
耳はしっかり聴こえている?
子どもがかかりやすい中耳炎
言葉の遅れの原因の1つとして最初に考えたいのが、耳の病気です。通常子どもは周りから聞こえる言葉を聞いて覚え、言葉として出てきますが、耳に異常があり聴こえていなければ言葉の発達にも影響が出てくることが考えられます。
中でも滲出性中耳炎は幼い子どもが頻繁に繰り返すことの多い病気であるため、経験のある子どもも多いのではないでしょうか。滲出性中耳炎は急性中耳炎と違い、耳に痛みを感じることが少ないため、子どもも親も気づきにくく知らず知らずに言葉遅れの原因になってしまっているのかも知れません。
耳垢栓塞
また意外な盲点かも知れませんが、耳垢が溜まり大きな塊となって耳に栓をしてしまい、聴力を悪くしてしまっている原因となっていることもしばしばあります。耳垢自体は病気ではありませんが、耳垢栓塞(じこうせんそく)と呼ばれ、難聴を引き起こしてしまう可能性もあります。たかが耳垢と思って侮ることなかれ!
よって言葉の遅れを感じたら、まず初めに聴覚に異常がないか観察・受診することが大切です。
口の周りや舌の筋肉が未発達
言葉を話すためには、口の筋肉と舌の動きが不可欠です。口の周りの筋肉が弱かったり、舌が固いと発音も悪くなるため、トレーニングを取り入れることで改善するケースもあります。
有効なトレーニング方法
・舌をあっかんべーっと下に伸ばす
・舌を左右に動かす
・吹く遊びをする(ラッパやシャボン玉遊び、風船を膨らますなど)
テレビやスマホの影響をどう考える?
日本小児科学会は、2004年から「子どもとメディア」の問題について提言しており、テレビを長時間見ている子は、そうでない子に比べて言葉の発達が遅れる可能性があると指摘しています。
日本小児科学会が行った調査結果
日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会では、3地域の1歳6か月健診対象児1900名にて調査を行いました。
■1日に4時間以上テレビを観る子どもは、短時間視聴(4時間未満)の子どもに比べて1.3倍の確率で言葉の遅れが見られる。
■8時間以上テレビをつけっぱなしにしている家庭では短時間視聴の家庭に比べ2倍の確率で子どもに言葉の遅れが見られる。
■視聴時の親の関わりが少ない長時間視聴児では短時間視聴の家庭に比べ2.7倍の確率で子どもに言葉遅れが見られる。
その一方で日本小児科学会は、子どもと一緒にテレビを一緒に見て楽しむことはコミュニケーションの1つであることも認めています。テレビを観ながら親と一緒に歌ったり、話をしている際は、子どもの反応行動が活発になり、記憶にも残りやすいということも示唆しています。
しかし、例えテレビの視聴が親子で一緒であろうとも、親の話しかけや顔を向き合わせての会話は減少することは否定できません。よっての日本小児科学会は長時間に渡るテレビの視聴は言葉の発達の悪影響を及ぼすと指摘し、長時間の視聴を止めることで言葉遅れが改善される例があることを報告しています。
言葉を引き出すコツ
1.絵本の読みきかせ
絵本の読み聞かせは、親子でスキンシップをとりながらたくさんの語彙を収集できるるため、言葉のインプットに最適です。本は身近な生活に関したものや、子どもの好み、月齢に合った本を選ぶようにしましょう。本の内容を読むだけでなく、絵本の絵を指しながら、「うさぎさん、寝ちゃったね。」「リンゴ、あかいね。」などと説明を加えながら、ゆっくり読むことがポイントです。
愛子さまが愛読している絵本ということもあって、話題になった「うしろにいるのだあれ」。
ページいっぱいに広がる大きくてはっきりとした絵が、小さな子どもにもわかりやすく、言葉を覚え始めた頃の子どもにおすすめです。動物の名前はもちろん、上下や前後の概念も一緒に学べます。最後のオチを子どもと一緒に楽しんでみてはいかがでしょう。
2.一緒に身体を動かして遊ぶ
一見、言葉と関係のないように思えますが、人は身体を動かして楽しく遊んでいるときは自然と声が出るものです。子どもに一方的に話しかけるよりも、角度をつけて抱っこするなど、遊びながら思わず声が出てしまうような「楽しいけど少しスリリングな動き」を一緒に取り入れてみましょう。
3.聞き役になる
たくさん子どもに話しかけ、言葉のシャワーを浴びさせることも重要ですが、子どもとの会話の際は聞き役に回ることも大切です。子どもの言葉がなかなか出てこなくても先回りして話してしまったり、遮ることはしないように注意しましょう。オウム返しと言って、子どもの話した言葉を反復して返してあげると、子どもはしっかり聞いてもらえていると感じ、さらなる言葉の習得に繋がっていくでしょう。
まずは身近な原因を追究してみよう
2~3歳の子どもの言葉遅れが気になった時、実は多くのケースが今回ご紹介したような身近なところに原因があったり、ちょっとした意識で発語を促すことにつながったりします。子どもの言語や感性の発達を阻害するような環境を出来る限りなくし、子どもからたくさんの言葉が返ってくる日を心待ちにしていたいですね。
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