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終了間近!暗闇イベント★ダイアログ・イン・ザ・ダーク東京体験ルポ

1999年の日本初開催以来、すでに19万人以上の人が体験した「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(Dialog in the dark)」純度100%という真っ暗闇の中を探検することで、視覚以外の感覚の可能性に気づき、他人とのコミュニケーションの愉しさを知ることができるというイベントです。

暗闇の中の対話を通じて、何に気づき、どんな感覚を手にいれることができるのか?新感覚のエンターティンメントを筆者なごみぃが体験してきました!

なごみぃ
こんにちは!ライターのなごみぃです。知る人ぞ知る新感覚エンターティンメント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」。東京では、2009年から常設展があるとは聞いていたのですが、なかなか行くきっかけがつかめずにいたんですよね~。

bitomos編集長
なごみぃさん!大変よ~。東京外苑前の常設展は今年8月末でクローズされてしまうそうよ!体験したいなら早く行かなきゃ~。
なごみぃ
編集長~ 行きたいのは山々なんですけど、料金がちょっと高いんですよね…。bitomosで取材費とか出ないのかな~??
bitomos編集長
そんな話はあとあと!とにかく行ってらっしゃい!体験記事よろしくね~♪

暗闇イベント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)」とは?

暗闇のソーシャルエンターティンメント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(以下DID)」。目を開けていても閉じていてもまったく同じ、純度100%と言われる漆黒の闇の中で繰り広げられるエンターテインメントは、参加者を未知の世界へ導いてくれる画期的なワークショップです。参加者の97%が「また参加したい」と回答し、また、必ずと言っていいほど、家族や友人たちに参加を勧めたくなるような魅力溢れるイベントでもあります。

DIDの何がそれほどまでに人を惹きつけるのか?その魅力を語る前に、「DIDとは何か?」について説明しましょう。

暗闇の中での対話

暗闇の中の対話。

鳥のさえずり、遠くのせせらぎ、土の匂い、森の体温。水の質感。
足元の葉と葉のこすれる枯れた音、その葉を踏みつぶす感触。
仲間の声、乾杯のグラスの音。 暗闇のあたたかさ。

ダイアログ・イン・ザ・ダークは、暗闇のソーシャルエンターテインメントです。
参加者は完全に光を遮断した空間の中へ、グループを組んで入り、暗闇のエキスパートである視覚障がい者のアテンドにより、中を探検し、様々なシーンを体験します。
その過程で視覚以外の様々な感覚の可能性と心地よさに気づき、コミュニケーションの大切さ、人のあたたかさなどを思い出します。ダイアログ・イン・ザ・ダーク公式サイト

DIDは、目以外の感覚を使って、自然、他人、そして自分との対話を楽しむという90分間のイベントです。

視覚障がい者のアテンドにより、暗闇の中で自然の音や匂いを感じたり、公園でブランコやボール遊びを行いながらメンバーと対話を深めていきます。最後には暗闇カフェでの飲食体験。視覚以外の感覚が研ぎ澄まされることで、いつも以上に薫り高く感じるお茶に驚いたり、お菓子の深い味わいを体験することができます。

イベントのテーマは、季節を感じるベーシックバージョン、お一人様同士でグループを作る「一期一会」バージョン、愛がテーマのラブバージョンなど、開催時期によって異なるため、何度体験しても飽きることはありません。

世界39ヵ国で展開するプロジェクト

DIDは、1988年にドイツの哲学者、アンドレアス・ハイネッケ博士によって考案されました。きっかけは、彼が一人の視覚障がい者と出会い接する中で、視覚に障害があっても豊かな感性や豊かな生活があることに気づき、その文化を共有するために「電気を消す」というアイディアを思いついたことに始まります。

DIDというスタイルが確立してからは、世界39ヵ国以上で開催され延べ800万人以上の人がこのイベントに参加しています。日本では1999年に短期イベントとして開催されたことを皮切りに、東京外苑前の常設展、大阪の「対話のある家」を中心に、延べ19万人以上の人が体験しています。

ビジネスに役立つワークショップ(研修)も開催

DIDは個人で楽しむだけではなく、「学び」を目的としたワークショップも開催されています。

暗闇の中で様々なアクティビティをこなすことで、ビジネスに必要なコミュニケーションリーダーシッチームビルディングなどへの気づきを得ることができると同時に、男女、年齢、障がいの有無などによる差別をなくすダイバーシティへの気づきも得ることができます。実践を通して学ぶことができるため、これまでに400社以上の企業に導入されています。

ダイアログ・イン・ザ・ダークを体験!

byなごみぃ

何も見えない真っ暗闇…と聞くと少し怖い感じがしませんか?筆者なごみぃは、実はとっても怖がり。お化け屋敷には絶対に入らないし、一人で寝るときには小さなライトをつけたまま寝るほどです。だからこの純度100%の暗闇と言われるこのイベントは、興味より恐怖心のほうが先にたち、中々体験に踏み切れずにいたんですよね~。

でも、DIDが今年8月で終了!という噂を聞きつけ、「行くなら今しかない!」というわけで、遅ればせながらDID初体験!です。6月某日、金曜日の夕方、久しぶりのデートを兼ねて夫と二人で参加してきました。

ここからは筆者のリアル体験レポートをお楽しみください♪

おしゃれなカフェ風のロビーでドキドキの待ち時間

DID東京は、外苑前駅から徒歩10分。おしゃれなコンクリート打ちっぱなしビルの地下にあります。入口には黒いスタイリッシュなDIDの看板と数本の竹が植えられていて「和モダンなカフェ」という印象です。

真っ赤な入口のドアを開けると、「こんにちは!」と、明るくフレンドリーなスタッフさんが迎え入れてくれます。受付では予約と身分証明書の確認を行い、開始時間までしばらくロビーで待機です。

ロビーの中は、外観同様コンクリート打ちっぱなしの壁に、木のオブジェや木製の大きなテーブル、ゆったりくつろげるソファなどがあり、落ち着ける環境になっているのですが、「これから暗闇に入る」と思うと、何となく落ち着かない…。

同じ回に入ると思しき女性が数名ロビーにいましたが、みなさん大人しくパンフレットを見たり、壁の展示物を見たりしているので、声もかけづらい…。暗闇の中でちゃんとコミュニケーションとれるかな?夫とだけ会話するようなことにならないかな?というのもちょっと不安になりました。

待っている間にスタッフさんから簡単な説明を受けます。

「会場の中は完全な暗闇となるため、光を発する可能性がある携帯や時計などは持ち込めません。また、万が一中で物を落としてしまうと、見つけることが困難になるため、落としそうな物や失くしたら困る物は持ち込めません。ただし、中で飲食体験があるので、お茶の代金分のお金だけは用意しておいてください」とのこと。

ポケットに千円札を1枚忍ばせ、その他のものはすべてロビーのコインロッカーに預けます。ポケットがない場合には、小さなポシェットを貸してくれるので、小銭やロッカーの鍵などはポシェットに入れて持ち込むことも出来ます。

時間になると、会場入り口に参加者が集められスタッフの女性から最終の案内があります。この回の参加者は、一人で参加している女性が3名、小学生の男の子とお母さんの親子、筆者たち夫婦、30代男性が1名の計8名でグループになって体験するようです。

最終案内を「うん、うん」とうなずきながら聞いていると、スタッフさんが一言。
「みなさん、うなずいていらっしゃいますが、会場内ではうなずきは何の役にも立ちません。せひ、声を出して意思表示してくださいね」

確かにその通り…。全員が小学生のように「はい!」っと元気に返事をしました。
「中では、暗闇の達人がお迎えします!どうぞお入りください」という声に促され、いざ!冒険の旅へ出発です。

前室にて暗闇の達人登場!メンバー自己紹介

入口を入ると、いきなり真っ暗!というわけではなく、人の顔がぼんやりわかる程度の暗がりの部屋に通されます。ここで、本日のアテンド役になる視覚障がい者の方とご対面です。このときはまだ視覚が生きているので、暗闇の達人のことをちょっと観察しちゃいました。

達人の名前はジョニーさん。見た目は20代前半で身長155㎝程度の小柄な女性で、話し方にも若干たどたどしさが残っています。

「おっ、女性なんだ」「ちょっと慣れてない感じもするけど、大丈夫?」などと余計なことを考えながら、達人の説明を聞きます。無意識のうちに目が見える自分が優位であることを感じているんですね。後から考えると、「このときの自分はなんてアホなんだろう」と思いました。

ここでまず、暗闇の中で自分の目の代わりとなる「白杖」を受け取ります。視覚障がい者の方が使っているあの白い杖です。

暗闇の中では、この杖を使って前方の障害物を確認したり、コツコツという白杖の音を聞きながら地面の材質を確認したりします。手を使って周囲を探るときには、いきなり手を伸ばすと突き指をしてしまう可能性があるので、まずは手の甲を使って優しく触れてみることなどの注意を受けます。

また、いきなり立ち止まったり、しゃがんだりすることはとても危険なので、「なごみぃ、しゃがみます」「ここに段差があります」など、自分の行動や感じたことを実況中継のように口に出して周囲に伝えることも大切なのだそうです。

暗闇の達人ジョニー
眼鏡をかけている方いますか?暗闇の中では眼鏡は役に立ちません。落とすと見つけるのが大変なので、お預かりすることもできますよ。

このジョニーさんからの問いかけに数名の参加者が「預けます」とバラバラと返事をしました。

するとジョニーさん、「3名ですね」と、ピタリとその人数を言い当て、「預ける」と返事をした人、一人一人に保管用の眼鏡ケースを手渡しました。

すごい!複数人が同時に答えているのに、それが3名であることを聞き分け、しかもその人の立ち位置をちゃんと把握できている!!筆者は明るい場所からずっと参加者を見ていたのに、何人が眼鏡をかけていたかなんて全然覚えていなかったし、横で数人が返事をしていてもそれが何人か?ということは咄嗟に判断できませんでした。

「見ているようで見えていない」「聞こえているのに聞き分けられていない」日常の自分の五感がいかにあやふやなものであるかを痛感し、この時点で筆者が持っていた些細な優位性は見事に崩れ去りました。

そしてメンバーは次の部屋へ移動。ここもまだ完全な暗闇ではなく、非常灯の灯りや隣の部屋の灯りがもれてきています。完全な暗闇への通路の前に、ジョニーさんを中心に肩が触れ合う程度の小さな輪を作ります。

「徐々に暗くしていきますから、ゆっくりと暗闇の感覚を体験してくださいね」というジョニーさんの言葉で、隣の部屋の照明や非常灯が消され部屋は完全な暗闇に。思わず「うわっ怖い!」と声が漏れてしまいます。心臓がバクバクと波打つのがわかり、隣にいる夫の腕をギュッとつかんでしまいました。

暗闇の達人ジョニー
怖いですか?大丈夫すぐに慣れますよ。目を開けていても閉じていても変わらないので試してみてください

本当に目を閉じても開けても、まったく状況は変わりません。しいて言うなら、目を開けていると若干の空気の圧力を感じる程度です。ドキドキは絶好調で、この先に進んでいくことに不安は募るばかりです。

暗闇の達人ジョニー
では、ここでメンバーのみなさんに自己紹介をしてもらいましょう。中で名前を呼び合うときのニックネームを決めてくださいね。
ジョニーさんの言葉に促されて、順番に簡単な自己紹介をしていきます。

参加者8名のニックネームは、

カピパラさん(女性)、カモメさん(男性)、アキラさん(夫)、なごみぃ(筆者)、ヨコちゃん(男の子)、ユリちゃん(お母さん)、マリリンさん(女性)、トヨエツさん(女性)で決まりました。

真っ暗な中での自己紹介でしたが、明るい場所で見た印象が少し残っていたので、声だけでも誰が誰なのかは何となくわかります。自己紹介で少し気分がほぐれたところで、いよいよ暗闇の会場へ足を踏み入れていきます。

 暗闇の中で自然を感じる

最初は電車ごっこのように前の人の肩につかまりながら、一列になって進んでいきます。

白杖の使い方もまだおぼつかないので前の人にぶつかってしまったり、どこを付いていいのかわからなくてブラブラしちゃったりします。前後の感覚もわからないので、前の人の肩から手が離れてしまうと途端に不安になります。少し歩いたところでジョニーさんが、

暗闇の達人ジョニー
どうですか?何か感じませんか?
そう言えば、なんか草の匂いがする…。「笹の葉みたいのがあるよ」「水の音が聞こえる」「鳥が鳴いているよ」と、みんなが口々に言いはじめ、少し広い場所に出てきたことがわかります。

暗闇の達人ジョニー
地面はどうですか?どんな感じ?
白杖で叩くと、コツコツという固い音がします。「なごみぃ、しゃがみまーす!」と言ってしゃがんで地面に触れてみると、ザラザラ・ゴツゴツとした感触がして、岩のような少し固い地面の上にいるんだということがわかりました。

暗闇の達人ジョニー
自由に散策してみてください!
そう言われて、前の人の肩から手を放して動いてみようとしますが、目が見えているときのように素早く動くことはできず、恐る恐る白杖をついて周囲の状況を確認してみます。

「なんだろうコレ?あっベンチだ!座れるよ。」という夫の声がする方へ進んで行くのですが、方向感覚もあいまいで、すぐにわからなくなってしまいます。

「アキラさん、ずっと何かしゃべっていて!」
「え~こっちだよ。こっち。」
「こっちと言われてもどっちだよ…。」というやりとりを何度か繰り返し、やっと夫の待つベンチへ到着。「ベンチどこですか~?」と、後から来たトヨエツさんに席を譲り、別の場所への移動を試みます。

少し離れたところで、ヨコちゃんの「あ~、ここに何かあるよ!」という元気な声や「トンネルがあったよ!」というカモメさんの声が聞こえ、「うわ~みんなすごい!この暗闇の中で自由に動き回っているんだ!」と、少し焦ってしまいました。

暗闇の達人ジョニー
みなさん、もう少し先まで進んでみてください。地面の様子が変わりますよ。カピバラさんがいるほうです。
「うえ~カピバラさんがいるほうって、どっち?」
「カピバラここです!あっなんか下が柔らかいよ。」「芝生っぽい。」
暗闇の達人ジョニー
そうです、芝生です!みなさん芝生のところまで来てください。
声のする方に向かっていきますが、途中ベンチがあったはずなので、ぶつからないように慎重に歩きます。白杖を使って前方を探ると、コツンと何かが当たる音がしてベンチがあることがわかりました。

「ここ、ベンチがあるから気をつけて!」と言うと、「え~ベンチ?どこどこ?」という不安そうなマリリンさんの声が後ろから聞こえてきました。「ここです、ここ!」と声を出すと、「あ~本当だ!」とマリリンさんもその存在に気づいたようです。ベンチを避けて前進し、やっとみんながいる芝生に到着です。

暗闇の公園でのダイアログ(対話)

芝生の公園の中には壁ぞいにいくつかのベンチがあるようでした。

暗闇の達人ジョニー
ここではしばらく一人の時間を持ちましょう。ベンチに座ってもいいし、芝生に寝転んでもいいですよ。

芝生に寝転んでみたい気もしますが、一度横になったら方向感覚がまったくなくなってしまうような気がするので、芝生の上に座ってみました。この時間は自分自身との対話の時間です。暗闇に対する不安はまったくなくなり、穏やかな気持ちになっていることに気がつきます。夫が近くにいることはわかっていましたが、特に話しかけずに一人でぼんやりとしていました。

暗闇の達人ジョニー
今度は隣にいる人と2人1組になってお話してみましょう。

隣と言われても…夫と話ても仕方ないし、どうしようかなと思っていると、「なごみぃさん、トヨエツです。ベンチに座りませんか?」と声をかけられたので、筆者はトヨエツさんとペアになりました。

知らない人との会話はちょっと苦手な筆者ですが、不思議なほどに打ち解けることができました。近くでもペアで話している人がいるはずなのですが、トヨエツさんの声以外は、ほとんど耳に入ってきません。

「暗闇ってどんな感じがしますか?」
「なんかね~。ドームの中にいるような感じがするの。」
「え~私もそう感じる!」
「大きいトンネルの中みたいな。」
「そうそう!楕円の天井がある感じ。」

実際の部屋がどうなっているのかはわかりませんが、二人の意見は一致。見えなくても気配で感じとれることが少しはあるようです。

聴覚の鋭さを実感できる暗闇サッカー

次は少し広い場所へと移動します。

暗闇の達人ジョニー
ここでは、みんなで何かして遊びたいと思います!何をして遊びたいですか?

思わず「かくれんぼ!」と叫んで、みなさんから失笑。「まずはどのぐらいの広さがあるのか図ってみよう」ということになり、全員が自分の後ろの壁付近まで下がっていき、それぞれが声を出すことで何となくの広さがつかめました。

アキラ氏が「歩数で距離を測ってみる」と言い出し、自分の対角線上にいる(と思われる)人に向かって歩いていき、「5mぐらいじゃないかな~」と言いながら戻ってきました。ほうー、ちゃんと最初の立ち位置に戻ってきたぞ。やるな夫君♪

暗闇の達人ジョニー
5mぐらいということでいいですか?実はこんなものがあるんです!

そう言ってジョニーさんが取り出したのは、振るとシャンシャンと音がするボール。

暗闇の達人ジョニー
これでボール遊びをしてみませんか?蹴ってみたい人!

すぐさま「はいっ!やりたーい」と手を上げると、ジョニーさんがボールを私のところまで持ってきてくれました。これってすごいですよね?真っ暗なのに私の居場所がわかるんですよ。入口で眼鏡ケースを渡したときより、ずっと離れた場所にいたのに、方向を間違うこともなく一直線に私の方に進んできてくれました。

もっと驚くのは、その時はジョニーさんが迷わずボールを持ってきてくれたことに何の疑問も持たなかったことです。ボールを持つジョニーさんのイメージが見えているような気がしたんですね。

「見えていないのに見えている」暗闇の中で身体の様々な感覚が鋭敏になってきたようです。

暗闇の達人ジョニー
なごみぃさんの正面にいるのはどなたですかね?

「たぶん、私かな?」と、マリリンさん。「じゃ~マリリンさんに向かって蹴りますね~」と、声のする方向に向かってボールを蹴ると、シャンシャンという鈴の音が段々小さくなって前方に転がっていくことがわかります。ちょっと横にそれてしまったようですが、無事にマリリンさんの足元にボールが到着。

という感じで全員がボールを蹴って一回りしてみました。この頃になると聴覚はとても鋭くなっていて、自分から見て10時の方向、3時の方向というように、音のする方向がはっきりとわかるようになっていることに気づきます。人間の感覚ってすごいな~と改めて実感することができました。

味覚・嗅覚を刺激する暗闇カフェ

最後の部屋は鋭くなった味覚・嗅覚を確認するためのカフェです。カフェには専門の店員さんがいて、私たち一人ひとりを席まで案内し、オーダーを取ってくれます。

カフェのメニューには

温かい紅茶 200円

冷たいピーチジュース、ジンジャエール 300円

ワイン 600円

ビール 1000円

味覚チェックのためのおつまみセット200円

があります。

ソフトドリンクでは、紅茶の薫り高い茶葉、まったりとしたピーチ、ちょっと刺激の強いジンジャーの香りなどを確認することができ、ワインは、赤・白・ロゼの3種類のうち、どれが配られるかは分かりません。まずは香りだけでワインの種類を当てるというお楽しみができます。冷たいビールは瓶で渡され、暗闇の中でグラスにビールを注いで飲むという体験ができます。

ちなみに、筆者はワインを頼んでみましたが、香りを嗅いでみてすぐに赤ワインだということがわかりました。嗅覚もビンビンに働いてくれているんですね。

おつまみは3種類がバスケットに入った状態で配られます。これから体験する人のために詳細はあえて書きませんが、それぞれ人によって違うものが配られたようです。みんなで会話していると意見が食い違うので、試しに隣のトヨエツさんと交換してみて違いに気づきました。

支払いはその場で現金で行います。私たちは自分が持っているお札がいくらなのか分かっている状態なので、支払いに迷うことはありませんでしたが、視覚障がい者の人はどうやってお札やコインの違いを見分けているのでしょう?暗闇カフェの店員さんに聞いてみました。

<お札やコインの見分け方>
お札の見分け方

by なごみぃ

なごみぃ
お札の見分けるときには、お札の下の角を触って確認することができます。写真のように千円札は横棒、五千円札は六角形、一万円札には逆L字の特殊加工が施されています。そんな加工があったなんて、今回初めて知りました!

コインは百円玉と十円玉の見分けがつきにくいようですが、十円玉の方が薄く、百円玉は裏面の100の数字の手触りでわかるそうです。確かに触ってみると十円玉のほうがツルんとした感じがしますね~。

楽しかった暗闇体験もそろそろ終了です。ジョニーさんが持ってきてくれたプラスチックのカゴの中に、飲み終えたグラス、おしぼり、おつまみのカゴをみんなで協力しながら片付けます。何も見えていないはずなのに、片付けもとてもスムーズ。暗闇でともに90分間を過ごした仲間たちとは、チームワークも万全になるんですね。

ほのかな灯りの中で最後の対話

90分間のエンターティンメントは、あっという間に終了です。光に目を慣らすためにほのかな灯りの部屋の中で、最後の対話の時間を過ごします。

暗闇の達人ジョニー
今回は90分より少しだけ短かったですね。
そんなジョニーさんの言葉を聞くと、「そう言えば、時間はどうやってわかるの?」という疑問が湧いてきます。

「朝と夜はどうやってわかるの?」
「初対面の人が怖そうとか優しそうとかどこで感じるの?」
「どんな人がカッコいいと感じるの?」
「健常者が何かを手伝ってくれたとき、逆に困ったって思うことない?」
などなど、みんな素朴な疑問を次々とジョニーさんへぶつけていきます。そんな不躾な質問にジョニーさんは丁寧に答えてくれました。

もし他所で障がい者の方と出会う機会があっても、こんな風に色々な疑問を持つことはなかったでしょうし、例え疑問があってもストレートにぶつけることはできなかったでしょう。自分自身が暗闇を体験したことや対等な立場で時間を共有したことが、こんな素直な質問に繋がっていったのだと思います。他のメンバーとの関係も同様で、まるで昔からの知り合いのように、和やかな会話を楽しむことが出来ました

暗闇の対話が教えてくれることーDIDの感想と口コミ

byなごみぃ

最初は不安で心臓がバクバクするほどだった暗闇ですが、最後は暗闇から出るのが名残惜しくなるほどリラックスした状態になりました。「心が解放された」という感じですね。

bitomosには「闇風呂でリラックスできる」という記事がありますが、手軽にこの感覚を味わうには闇風呂もいいかもしれませんね。こちらの記事もぜひチェックしてみてください。
「暗闇お風呂の4つの効果!疲れを取りたい人は「闇風呂」でリラックス♪」

最後に筆者の感想とDIDを体験した方の口コミを紹介しましょう。

なごみぃの感想

DIDから気づかされることは、大きく分けて「人間の五感に関すること」「他者とのコミュニケーション」「障がい者との関わり方」3つの視点があるように思います。

五感という視点では、

  • 日常の生活は視覚だけに頼りすぎ、他の感覚がおろそかになっていること。
  • 視覚情報に惑わされて、物事の本質が見えなくなっていること。

視覚情報を閉じられたとき、それを補うかのように他の感覚が鋭くなっていきます。もしかすると、五感+αの第六感も磨かれてくるのかもしれません。

他者とのコミュニケーションという視点では、

  • 「声を出す」「手を差し伸べる」ことに抵抗がなくなること。
  • 見た目の印象という先入観が取り払われ、人の顔色を伺うことなく素直なコミュニケーションが取れるようになること。

暗闇の中では、声を出すことは自分を守ると同時に、自分の存在を知らせ他人を助けることにも繋がります。普段「助けて」と言えない人も自然と弱い部分をさらけ出すことができるし、倒れた人、不安な人がそばにいたら、迷わず手を差し出すことができました。

また、暗闇の中では、声のトーンで男女・大人か子どもかの区別はつきますが、しゃべっている内容は?というと、小学生のヨコちゃんも大人の私たちもほとんど変わらなくなってしまいます。
実生活の中では、性別・年齢・立場、そして相手の感情なども気にしながら会話することが多いですよね。暗闇の中では、それらはまったく無意味なものになります。対峙している相手とは常に対等です。

障がい者との関わり方という視点では、

  • 視覚障がいを持つ人の不便さを知ることができる。
  • 視覚障がいを持つ人の優れた能力を知ることができる。

たった90分のワークショップで、障がいを持った方の気持ちになれるわけではありません。その不便さをほんの少しだけ体感することができ、健常者が想像もできなかった特異な能力があることに驚くだけです。でも、1つ重要なのは、それが「障がいを持つ人も健常者も対等である」ということを気づかせてくれることです。

障がいを持つ人に寄り添うこと、お手伝いをすること、口で言うほど簡単ではありません。でも、今回の体験を通して感じたのは、「気負わずに普通に接すればいいんだ」ということです。それだけでも筆者にとっては大きな収穫になりました。

終了直後の感想は、「人間ってすごいな~」ってだけでしたが、今記事を書きながら振り返ってみると、1つ1つの体験にすごく大きな意味があったことがわかります。これから体験する方は、ぜひ体験後の振り返りもしてみてくださいね!

bitomos編集長
なごみぃさんは相当刺激を受けたみたいね。他の人たちは何を感じたのかしら?

体験者の口コミーTwitterから

その他の皆さんは、どんな感想を持ったのでしょうか?Twitterからいくつかの口コミを紹介しましょう。

なごみぃ
一緒にメンバーとはぐっと親密度が高くなりますよね~。他の人に勧めたくなる気持ちもよくわかります。

bitomos編集長
あはは~(笑)女子に免疫がなかった男子には、いいきっかけになるかもね。
なごみぃ
このイベントで出会って付き合うことになったカップルもいるそうですよ~♪

なごみぃ
リピーターさんなんですね。何度行っても新しい発見がありますよね。

8月末で終了!申し込みはお早目に♪

DID公式サイト

転用:DID公式サイト

東京外苑前の常設展は、残念ながら今年の8月末で終了となります。大阪会場の「対話のある家」も6月19日(火)を持って終了予定で、その後のことは未定だそうです。DIDに興味がある方は、ぜひお早目にお申込みくださいね!

申込方法と料金

DIDに参加するためには、事前予約が必要です。
一般プログラムは基本的に土日開催です。平日は研修や貸切利用が中心となるため一般プログラムは不定期での開催となります。
開始時間も日によって異なるため、空き状況はDID公式サイトの空席照会・チケット購入のページでご確認ください。チケットの予約もこのページから行います。

料金は、大人 5,000円 学生 3,500円 小学生 2,500円です。

参加にあたっての主な注意点

  • 妊婦、未就学児は安全のため参加できません。
  • 当日は開始15分前までに会場に到着してください。
  • 本人確認のため身分証明書を持参しましょう。
  • 暗闇の中で行動するため、当日は動きやすい服装で参加しましょう。地面の感覚を感じるために、スニーカーやローファーなどヒールのない靴がおススメです。

「ダイアログ・イン・サイレンス」新宿にて開催決定!

ダイアログ・イン・サイレンス

転用:DID公式サイト

この夏、DIDの新しいバージョン「ダイアログ・イン・サイレンス」が新宿LUMINE 0で開催されることが決定しました!

ダイアログ・イン・サイレンスは、音のない世界で言葉の壁を越えたコミュニケーションを体感するためのイベントです。音声を完全に遮断するヘッドフォンを装着し、集中力・観察力・表現力などを駆使しながら新しい対話の形を楽しむワークショップです。開催予定は8月1日(火)~8月20日(日)の20日間。夏休み期間中なので、子どもと一緒に参加してみるのもいいですよね。

詳細は公式サイトにてご確認ください!

この夏プライスレスな体験を!ダイアログ・イン・ザ・ダーク

bitomos編集長
最初はブツブツ言ってたけど、行って良かったでしょ?
なごみぃ
はい!人生観が変わるような体験でした!ところで編集長、取材費は…?
bitomos編集長
え~と、私も早速予約しなくっちゃ…忙しいからまたあとでね~♪
なごみぃ
あっ、逃げられた…。

DIDは、90分間で5000円。映画や他のアミューズメント施設のアトラクションと比べると、やや割高に感じるかもしません。ただこの体験から得られるものは、お金以上の価値がある貴重なものです。

7月14日(金)から始まる、DID東京のファイナルテーマは「出発」です。心に不安を抱えている人、迷いがある人に、新しい道に向かう勇気を与えてくれる暗闇です。ぜひ、体験してみてくださいね♪

bitomos編集部プロフィール

そのライターの経歴や性格を知れば、今後どんどんbitomosの記事を読むのが面白くなるかも!?この記事ではライターそれぞれの自己紹介と、記事を彩るゲストキャラクターたちを紹介していきます。あなたのお気に入りのライターが見つかりますように♡

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なごみぃ

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