子供の入学式や卒業式で失敗しない着物の選び方|訪問着?付下げ?ベストな着物はコレ
女性の着物姿はきちんとした印象で素敵だなと感じたことはありませんか?卒業式や入学式では一度は着物を着てみたいと思う方は少なくないと思います。
ただ、着物の種類や格式が面倒で、着物を着るのを諦めている方も多いと思います。貴方が着物に少しでも興味をお持ちでしたら、是非入学式で着物を着てみませんか?入学式で恥をかくことのないように、入学式にふさわしい着物の種類や基礎をご紹介します。
Contents
入学式にふさわしい着物とは
着物にもTPOがある
着物も洋服と同じように着ていく場所によって着るべき着物が決まっています。洋服で言うところのフォーマルを着物では“第一礼装”とよび、セミフォーマルが“準礼装(略礼装ともいう)”と呼ばれます。
着物は形が決まっているので、模様やその配置、色そして紋の付け方などでその着物の“格”が決まるのです。その“格”が着ていく場所にふさわしいかを、着物を着る場合に考える必要があるのです。それが“着物は難しい”と思われる原因になっていると思われます。
現在、入学式に母親が着ていくのにふさわしい着物としては、次の4つが挙げられます。
・付下げ
・一つ紋の色無地
・一つ紋の江戸小紋
訪問着とは
訪問着の定義は次のようになります。
訪問着とは着物の柄が縫い目で模様が途切れずにのびやかな続き模様となっています。これは絵羽模様と呼ばれているもので、袖と裾、ものによっては胸や肩にまでも華やかな模様がほどこされています。衣桁(着物をかけるもの)にかけると、一枚の美しい絵のように見えます。
付下げ
付け下げの定義は次のようになります。
付け下げとは、絵羽模様で描かれたものではなく着物の脇に連なる柄が無いのが特徴です。着物を購入した若い時期から歳を重ねてふくよかな体型に変わっても、着物の幅のサイズを調節できるように仕立て直すことが出来ます。
もともと戦時中に訪問着が禁じられ、その代りに付け下げが作られたため柄の数も少なく控えめなものが多かったのですが、最近では訪問着のような華やかな付け下げも沢山出回っています。
一つ紋の色無地
まず色無地の着物の定義は次のようになります。
着物で言われる色無地とは、基本的には黒以外の一色の色で染められた着物のことです。生地自体に柄が織り込まれているものは地紋のある色無地と言われ、色無地の大半がこの形態となります。
一つ紋とは
一つ紋の“紋”とは家紋のことです。着物の背中中央の帯を結んだ上のあたりに紋をつけます。着物を仕立てる時に色無地の場合、家紋を白く染め抜きます(ちなみに上記の着物が地紋のある色無地です)。もしも既成品の色無地の着物を購入した場合などは、家紋の縁取りを刺繍して一つ紋にします。
大事なのは、この紋の数で着物の格が変わるということです。色無地は一つ紋をつけることで、格が訪問着と同格になります。紋を三つ着けた場合は、前述の訪問着より格が上になります。入学式などの学校行事の場合は、一つ紋で十分なのです。
一つ紋の江戸小紋
いわゆる小紋とは上記の写真のように上下左右関係なく小さな模様や柄が散りばめられています。そこが訪問着や付け下げが、肩を上として模様が描かれているのとは異なります。小紋は一般的にはおしゃれ着(カジュアルウエア)の位置づけになります。
しかし、一つ紋を着けた江戸小紋だけは準礼装という格式が高い着物と認められているので入学式に着るのにふさわしい着物になります。
江戸小紋とは
江戸時代、武士の礼装は裃に家紋を大きく染め抜いたものでしたが、やがて大名同士の間で裃の模様の豪華さを競い合うようになりました。そこで幕府からたびたび贅沢禁止令が出て、大名たちはいかに模様を小さくしてそれでいて豪華な模様を表現する染めを求めるようになり、染めの技術が急激に向上したのです。
その結果ぱっと見ると無地のように見える生地に、錐などで和紙に小さな穴を開けた型紙で点を染め抜きながら模様を描くという渋みのある美しさを見出したのです。このようにして生まれた小紋を江戸小紋といいます。大名ごとに定められた文様は“定め小紋”として格式の高いものとなりました。
江戸小紋三役
定め小紋の中でも江戸小紋三役と呼ばれる以下の小紋は一番格が高く江戸小紋の代表です。
【鮫(島津家の定め小紋)】
点で弧を描いた模様が重なっている様子が鮫の肌のようだということで“鮫小紋”と呼ばれます。鮫肌は硬いので鎧に例えられ“身を守る・魔除け”などの意味を持ちます。
【角通し(信濃戸田家の定め小紋)】
小さな点が垂直に乱れ無く並んだ模様から“縦にも横にも筋を通す”という意味があります。
【行儀(仙台藩伊達家の定め小紋)】
小さな点が斜め45度にきれいに並んだ様子が、行儀正しく見えることから“礼を尽くす”という意味があります。
江戸小紋に一つ紋とは
江戸小紋に一つ紋を入れると、着物を仕立てる前から決まっていれば、江戸小紋に家紋を染め抜き紋として紋(家紋)をつけることが出来ます。しかし、江戸小紋の反物で仕立て上がった着物に、後から一つ紋を背中に入れるのならば、刺繍で紋を入れる縫い紋をつけます。これで格があがり準礼装として恥ずかしくない着物になります。
入学式での帯の選び方
帯も沢山の種類がありますが、入学式に着ていく着物に締める帯というと袋帯が最適です。その袋帯についてご説明します。
袋帯とは
袋帯とは表地と裏地を縫い合わせたもので袋状になっている帯で、結婚式で着物を着た方はこの袋帯をしめています。結婚式から卒業式や入学式のお祝いの席など幅広いシーンで使うことが出来ます。長さは4m17cmですので“喜びを倍にする”という意味で二重太鼓で帯をしめます。
そこで入学式での帯の選び方ですが、間違っても結婚式のような派手な帯を選んではいけません。主役は子供であなたは脇役であることをわきまえて、金糸や銀糸が品よく入った吉祥文様のものが一番無難でしょう。あくまでも“上品で”“ひかえめ”な感じで着物とのバランスを考えて選びましょう。
吉祥文様とは
日本人は着物や帯の模様にも幸せを祈り願いを込めてきました。沢山の種類がある模様の中でも、おめでたい縁起がよい動植物や品物を表す模様の総称を吉祥文様といいます。例えば皆さんも良くご存知の“松竹梅”も吉祥文様であり、長寿・繁栄を意味しています。
多少の間違いより気持ちが大事
日本人にとって“着物”は大切な文化・財産です。ほとんど着物を着る機会の現代において、入学式など着物を着るチャンスがあるならば、是非着物を着て頂きたいと思います。入学式は喜びの門出ですので、着物の色は地味な色よりも、パステルカラー系の淡くて柔らかで落ち着いた色を選ぶと良いでしょう。また地域によってはブラックフォーマルの服装の着用が決められている学校もありますので、事前にそのようなことが無いか確認しておくことをおすすめします。良い思い出となる入学式となりますように!
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