おじいちゃんが亡くなった…。残った後悔と「死」を見つめて学んだ事
今、ご家族や親しい方の死に対して恐怖を感じている方、または辛い思いをされてる方がたくさんいらっしゃると思います。人は死に直面した時、どう受け止めたら良いのか葛藤してしまうものです。
平成29年4月に、筆者の祖父が亡くなりました。84歳でした。本当に辛くてとても落ち込み、もう遅いのに後悔した事も沢山ありました。しかし、その一方で、大切な人の死を目の当たりにして、学んだ事ばかりだと気づいたのです。
Contents
在宅介護と「看取り」を選択するという事
突然始まった自宅での介護生活
介護とは、日常生活が困難になってしまった高齢者をサポートするという事です。歩く事や食事が大変になったり、痴呆症であったりする方のケアですね。介護施設などにお願いする場合と、自宅にて家族がメインとなって介護をする在宅介護があります。
家族が仕事などで忙しく自宅にいる時間が少ない場合、介護施設の利用を希望する場合が多い様です。しかし、入居者の定員オーバーや利用料の負担から在宅介護を余儀なくされる場合もあります。
筆者の家庭は、本人の強い希望もあって在宅介護を選択しました。両親は日中仕事で家を空けますが、筆者と妹は在宅ワークですので「なんとかなる」そんな気軽な考えでのスタートでした。
すれ違う家族
祖父は畑仕事や草むしりなどの外仕事が日課でした。足を悪くしてしまい転びやすくなってしまったのにも関わらず、本人はまだ大丈夫だと感じていた様で…。私達の目を盗んでは外に行ってしまうんです。
そして、とにかく言う事を聞かない。空いた時間には付き添って外に行くのですが、やはり自分のペースで行動したいんですよね。そんな事が続けば当然ケンカになってしまいます。しまいには、姉妹間も険悪なムードに…。
しかし、幸いにも仲の良かった私達姉妹は何度も話し合いを重ね、不満の原因が両親だという事に気づいたのです。「何故、私達がこんな辛い思いをしなければならないのか」「そもそも、私達には今後両親の介護だってあるじゃないか」それから連日に亘る家族会議を開き、揉めに揉めましたが両親がメインの在宅介護で話がまとまったのです。
デイサービスの利用
とは言っても両親が仕事を辞めるわけにはいきません。半休、有給休暇、介護休暇などを利用して祖父のサポートを行ってきました。もちろん私達も手伝い、祖父に寄り添ってきました。
食事や薬を飲む事も大変になってきた祖父の為に、ムース食を購入してみたり、ゼリー状のオブラートを使用してみたり…。ご高齢の方に優しい商品の多さに感動したものです。しかし、お風呂のサポート、祖父の部屋で寝る、排泄物のチェック…一日中やることは盛りだくさんで、家族はどんどん疲れてきてしまいました。
このままでは祖父も辛いだろうと思い、デイサービスに通ってもらう事にしました。本人はあまり乗り気ではありませんでしたが、家族への負担があまりにも大きかったのです。
デイサービスのメリット
デイサービスとは、要介護認定を受けた方が利用できる介護施設です。食事や入浴、他の利用者さんとの交流などができます。介護スタッフさんのケアですので、細やかなお気遣いをしていただけて、過ごしやすい環境になっているんですね。通うことで、楽しみや生きがいを感じる方が多い様です。
デイサービスのデメリット
しかし、施設の雰囲気や他の利用者さんとの相性が良い方ばかりではありませんよね。ストレスになってしまう場合もあるんです。筆者の祖父もその一人、帰宅後にはテンション低めでした。
そして、デイサービスの日は、なぜか頭痛になるのです…。ズル休みしたい時は頭痛を訴える筆者、血の繋がりを感じました…。
困った父は「ちゃんと行け!困らせるな!」と相当ご立腹でしたが、これ逆効果なんです。気持ちはわかりますが、やっちゃダメなんですよね。筆者は考えました、行きたくない場所に行きたくない時に掛けてもらいたい言葉を…。
渾身の一言がコレです…。すかさず妹も話を盛り上げてみると…
なんとおじいちゃんが話に乗ってきたではありませんか!可愛い子は残念ながら居なかった様ですが、亡くなったお友達のお知り合いに会ったんだそう。
楽しみ♪とまではいきませんでしたが、「マッサージはいつだ?」「次は何曜日だ?」と少しずつ気にするようになったのです。後に知ったのですが、実は母が施設でとても美人な方を目撃したそうで…。
病院に通う日々
デイサービスにもぼちぼち通い、家族にも何となく余裕が生まれてきた頃、祖父は誤嚥性肺炎を発症してしまいました。この誤嚥性肺炎とは、食べ物が気管に入ってしまう事が一因の様です。空気が入る気管に食べ物や飲み物と共に細菌が入り、肺が炎症を起こしてしまうんですね。
せん妄の恐怖
入院し、点滴で治療をする事になった祖父。病室に駆けつけると、突然意味のわからない事を言い出すのです。入院や肺炎による不調で強いストレスがあったのでしょう…「せん妄」になってしまったのです。
一見、認知症になったのでは?と思われがちなせん妄ですが、一時的な症状で回復が可能だと言われています。祖父も時間が経つにつれ、症状が落ち着きました。
入院から数日間は、幻覚、幻聴、家族がわからない、点滴をはずしてしまう…などといった症状があり、とても悲しかったです。看護師さんにアドバイスを頂き、家族の写真をコルクボードに張って病室に飾ったり、お気に入りの服を近くに置いたり、少しでも気持ちが落ち着くように工夫してみました。
自宅で「看取る」とは?
せん妄の症状は少しありましたが、退院が可能になりました。担当医の先生のお話を聞き、自宅での看取りについて改めて考えさせられました。症状も良くなり退院になったけれど、もしかしたら病院で亡くなっていたかもしれないのです。
筆者家族の看取りについての認識の甘さ、自宅で介護をする事の難しさ…優しく諭してくださった先生と看護師さんのおかげで、自宅で看取る事の重さを知る事ができました。
自宅で看取るとは、自宅で最期を迎えるという事。一人の人間の「死」を家族は見届けなくてはならないのです。それも、大切なかけがえのない存在の死を。住み慣れた我が家、確かに理想です。ですが、決して簡単な事ではないのです。苦しそうにしている家族を目の前にして、救急車を呼ぶ事すら悩まなくてはならない場合もあるのです。
大切な人の死…後悔が押し寄せる
一緒に暮らしていた場合
退院して2週間程たった頃、祖父は自宅のベッドで息を引き取りました。亡くなる前に背中をさすってあげていたら筆者の手を握り、ただこちらをじっと見つめているのです。
「ちょっと片付けしてくるからね」そう言って手を離してしまった数分後、祖父は亡くなりました。一緒に暮らしていても、自宅で看取ると決めても、お別れの言葉も感謝の気持ちも必ず伝えられるわけでは無いのです。
何故、もう少し優しくしてあげれなかったのだろう。もっと一緒に出かければ良かった。もっとたくさん話したかった。数え切れない程の後悔が溢れてくるのです。
離れて暮らしていた場合
では、離れて暮らしていた方の心境はどうなのでしょう?bitomosの編集長である堀越さんは、数年前におばあ様を亡くされました。当時の心境を聞いてみたいと思います。
なかなか会いに行けなかった事を、後悔する方はたくさんいらっしゃいます。しかし、亡くなった方は責めたりしません。お互い大切な存在なのです、会えた時の喜びや楽しかった思い出は、両者の心に残った宝物なのだと思います。
「死」について考えてみる
亡くなったらどうなってしまうのだろう?
誰もがふと考えてしまう「死」に対しての疑問。亡くなったら一体どうなってしまうのだろう?と、不安になったり恐怖を感じたりした事があるかと思います。そんな死後の世界について、さまざまな意見や考え方が存在します。
「人は死なない」をご存知ですか?
東大救命医である矢作直樹さんの著書「人は死なない」という本が話題となっています。矢作先生曰く、「人の体は滅びても魂はずっと生き続ける」のだそう。この世では自分の体を授かり色々な経験をする事が可能となっていますよね。今、この文を読んでくださっている事だって勿論そうです。
死というのは、この世のゴール。「とりあえずのお疲れ様」なんだと矢作先生はおっしゃっています。私達が存在しているこの世という世界以外にも、目に見えない世界が重なっており、魂はそこに永続すると矢作先生はお考えなんです。
この様なお話を聞くと、何だか安心しませんか?亡くなったらどうなってしまうんだろう?と見えない恐怖に怯えるより、魂になって新しい世界に行く事ができるんだ!と思って居たいですよね。
子供にはどうやって説明する?
大人でも強いショックや辛さを感じる身近な方の死。お子さんの心のケアはとても大切ですよね。人の死=恐怖と捉えがちな為、声をかけ、安心させてあげるのがベストなんだと思います。
例えば「天国で見守っててくれるよ」や「亡くなってしまったお友達や家族に会えるといいよね」などと、希望のこもった会話があるだけでも違います。不安そうにしていたら、そっと抱きしめて下げてくださいね。
絵本「このあとどうしちゃおう」
コチラの「このあとどうしちゃおう」という絵本は、「おじいちゃんの死」をテーマに描かれている作品です。孫である「僕」は、おじいちゃんが生前に書いていたあるノートを見つけます。
そこには、亡くなった後の予定や天国のイメージ画が楽しそうに書かれているのです。一見、愉快なおじいちゃんの物語かと思いますよね?しかし、作中で「僕」はおじいちゃんが何故このノートを作ったのかを考えていきます。
死を通して成長する「僕」、死は悲しみだけではない事が学べますよね。この様な絵本も心のケアに繋がるのだと思います。
商品価格:1,512円
お別れのプレゼントを贈ろう
大好きだった物
祖父は日本酒とタバコが大好きでした。入院中も「タバコが吸いたい」「酒が飲みたい」と嘆いておりました。もちろん禁酒禁煙ですから、「体に良くないからダメなんだよ」と説得したものです。
すごく残念そうな顔で諦める祖父を見つづけてきた筆者が、亡くなってまず思った事は「お酒とタバコ買ってこなくちゃ!」でした。亡くなった方へ労いの言葉と共に、大好きだった物を贈ってあげてください。気持ちは必ず伝わると思います。
弔辞を読む
葬儀の際に亡くなった方に贈る言葉が「弔辞」です。生前の思い出や感謝の気持ちをめいっぱい伝えて欲しいと思います。ただ、使ってはいけない言葉などがある為少し注意して文章を考える必要があります。
弔辞のNG用語
・「死亡された」「死んだ」など直接的な言葉
もっとも避けて頂きたいのが直接的な言葉です。例えば「死んだ」では無く「亡くなる」などといったソフトな表現が好ましいですよね。死亡→ご逝去、生きていた頃→お元気だった頃。この様な表現を使用しましょう。
・繰り返し言葉
「重ね重ね」「たびたび」「またまた」など繰り返す事を意味する言葉は避けましょう。なぜなら、死や不幸が繰り返される事を連想させてしまうからです。「再三」「続いて」「再び」「重ねて」こちらの言葉も繰り返しを意味する為、使わないようにしてくださいね。「追って」「また」も同様になります。
・四や九の数字
四→死、九→苦を連想させます。弔辞はもちろん葬儀の場にもふさわしくない数字です。
また、宗教によって異なる場合もありますので、亡くなった方に弔辞を読まれる際は適した言葉を選ぶようにしましょう。
スライドショーの製作
祖父の葬儀を執り行って頂いた葬儀会館のスタッフさんに「最近は、スライドショーを流したりするご遺族もいらっしゃるんですよ」と聞き、正直驚きました。結婚式や卒業式では主流になってきましたが、お葬式にはどうなんだろうと…。
しかし、祖父の一生は映画の様に素晴らしかったはずです。亡き祖母が残しておいてくれた沢山の写真と、亡くなる数週間前に撮ったムービーを使用してスライドショーを作成したのです。正直、無我夢中で動画編集の経過をあまり覚えていません…。
葬儀の際、スライドショーが流れました。親戚はもちろん、祖父のお友達やご近所の方がとても喜んでくださり有難かったです。祖父が沢山の方に愛されていた事も知ることができたのです。
「死」を通して気づく大切な事…「今」を生きよう!
「生」は「死」ありき。私達は生きることで何かを学び成長します。その中には、失う事も含まれているんですよね。「死」に直面する事はとても辛い事ですが、誰かを思う気持ちや慈しむ心が育っている事に気づいていますか?
亡くなった方は、私達に教えてくれます。「今」を大事に精一杯生きる事の素晴らしさを!そして、見落としがちな幸せや優しさに気づく事を願っているのだと思うのです。
亡くなる前に筆者や家族にお世話をさせてくれた祖父。最後まで、祖父のおかげで家族は成長できました。ありがとうおじいちゃん、ずっと大好きだよ。
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