実感!マインドフルネスの効果★心の筋トレでストレスフリーな毎日を
各界のエリート、アスリート、著名人がこぞって実践しているというマインドフルネス。
健康な身体づくりには適度な運動が必要なように、心をトレーニングすれば誰でもストレスフリーな毎日を実感することができます。この記事ではマインドフルネスとは何か?どんな効果が得られるのか?について詳しく紹介します。
不安や焦り、怒りや悲しみなど、揺れ動く感情に心がざわついて仕方ないという人、仕事にイマイチ身が入らない、やるべきことに集中できないという人は、ぜひこの記事を参考にしてくださいね。
心を調えるーマインドフルネスとは
ストレスの緩和、集中力・創造力の強化、老化防止やダイエットなど、幅広い効果が認められているというマインドフルネス。あのAppleのスティーブ・ジョブズが瞑想を実践していたというのは有名な話ですが、アメリカでは早くからその効果に注目が集まり、体系化された心のトレーニングメソッドとして定着しています。
マインドフルネスの定義
この分野の権威と言われるマサチューセッツ州マサチューセッツ工科大学のジョン・カバット・ジン(Jon Kabat-Zinn)博士は、マインドフルネスをこのように定義しています。
マインドフルネスとは、意図的に、今この瞬間に、判断せずに、注意を払うこと、そしてそこから得られる気づき
そして日本マインドフルネス学会では、下記のように定義しています。
どちらもちょっとわかりにくいでしょうか?簡単に言うと、「今この瞬間に意識を集中して、良い悪いの価値判断をせずに、五感で感じたありのままを受け入れる」ということになります。
仏教・医療・世俗的なマインドフルネス
マインドフルネスの原点は仏教
マインドフルネス(Mindfulness)は、仏教における念(パーリ語のsati=サティ)の英語訳でもあります。仏教における涅槃(苦しみからの脱却)に到達するための8つの実践法(八正道)の中の1つ、正念(*1)の実践法として欧米に紹介されたときにこの言葉が使われました。
(*1)正念とは(しょうねん, 巴: sammā-sati, 梵: samyak-smṛti) 四念処(身、受、心、法)に注意を向けて、常に今現在の内外の状況に気づいた状態でいることが「正念」である。Wikipediaより
医療現場におけるマインドフルネス
このようなマインドフルネスの概念を最初に一般に広めたのが、前途したジョン・カバット・ジン博士です。彼は、自身が仏教瞑想や坐禅に取り組む中で、マインドフルネスの概念を医療に活かすというアイディアを思いつき、元々あったマインドフルネスの概念から宗教的な部分を取り除き、呼吸法や瞑想によるストレス低減法を開発しました。
マインドフルネスストレス低減法(MBSR)は、認知行動療法の一種ですが、慢性疾患やうつ病などの患者に対して一定の効果があることが、科学的に実証されています。
世俗的なマインドフルネス
このマインドフルネスという考え方が、今のような爆発的はブームになったのは、グーグル社の「Search Inside Yourself(以下SIY)」という社内研修がきっかけだと言われています。
このSIYは、リーダーシップや集中力などを高めるための研修プログラムで、マインドフルネスの考え方が重要な要素になっています。2009年の開講時から社員の間で人気の講座となり、今ではグーグル社員3万人が受講しています。
この研修は社外へも提供されており、インテル、フェイスブック、ナイキなどの超一流企業を初め、アメリカ海軍やアメリカ国防省などの政府機関も研修に取り入れています。
心を調えるー心の筋トレとは?
マインドフルネスの基本は、「今ここに意識を集中すること」「好き嫌い、良い悪いなどの価値判断をせずにありのままを受け入れること」です。マインドフルネスのトレーニングを重ねていけば、自分の心を上手にコントロールすることができるようになります。
モンキーマインドに振り回されていませんか?
彼とデートの最中なのに、急に「あっそうだ、アレやってなかった!」と仕事を思い出してしまった。
疲れて眠りたいのに、ふと昼間言われた上司からのイヤミを思い出し、腹がたって眠れなくなってしまった。
「集中したい」「頭を休めたい」と思っていても、人間の頭の中には常に色々な考えや感情が浮かんできます。このように頭の中が雑念でいっぱいになっている状態が、モンキーマインドという状態です。頭の中でサルたちがキーキーと騒いでいるような感じですね。
これが楽しい感情ならよいのですが、怒り・不安・恐れなどの不愉快な感情で、いつまでもそれに囚われてしまうということはありませんか?そんなときには、このサルたちには少し静かにしてもらいたいと思いますよね。
今に意識を集中する
こういった雑念の多くは、過去や未来のことがほとんどですよね。過ぎてしまったことをクヨクヨと悩んだり、起こるかどうかわからない未来のことに怯えるのは合理的ではありません。分かっているのに考えてしまうのは、心が自動操縦状態になっているから。
自動操縦の心では、過去に体験したパターンに沿って
というように、感情が負のスパイラルにハマってしまうことがしばしば起こります。一旦ネガティブな感情に支配されてしまうと、ポジティブな感情に戻ることが非常に難しくなりますね。
「雑念はすべて捨てろ」というわけではありません。キーキーと騒ぐサルが浮かんできたら、「それを考えている今の自分に気づく」ことが大切です。過去や未来へ浮遊していく自分の心を「今」に引き戻してあげましょう。
自動操縦になってしまうのは、感情だけではありません。日常生活の中で意識が自動操縦状態になっていることもよくあります。
- 朝を起きて歯を磨く
- シャワーを浴びる
- 会社に行く道のり
- 食事の後のお皿洗い
このような習慣的な行動は、特に意識したり注意をしたりしなくても、ちゃんと目的を達することができますよね。これは意識が自動操縦されていて、身体が勝手に動いているからです。
ではこのとき、意識はどこにあるのか?と言えば、やはり過去や未来へと忙しく飛び回っていることが多いでしょう。これでは脳は休むことができません。
脳が疲れてしまえば、目の前で起こっていることに集中できなくなり、ミスやトラブルの原因にもなってしまいます。今に意識を集中させることは、脳の休息にも繋がります。
価値判断をしない
不安やイライラなどネガティブな感情が浮かんでくると、「あの人が悪い」「こんな思いをするのは自分が弱いからだ」というように、ついつい何らかのジャッジをしてしまいませんか?良い悪い・好き・嫌いという価値判断をすることは、自分の主観を通して物事を判断してしまうことになり、これがスムーズな思考を邪魔していることもよくあります。
マインドフルネスでは、先入観や価値観など、自分の主観というフィルターを外して、物事をありのままに受け止めることが求められます。不安を感じている自分に気づいたら「今不安で胸がドキドキしている」「なぜここに留まっているの?」「なにが欲しくてキーキー騒いでいるの?」というように、自分の心や身体と対話を重ねてみましょう。不安を感じる要素を一つ一つ取り出して眺めてみれば、複雑に絡み合った感情の糸がほぐしやすくなるはずです。
呼吸法を実践してみよう!
説明だけではちょっとわかりにくいですよね!マインドフルネスを体感するための簡単な呼吸法を実践してみましょう。
基本の呼吸法
- 背筋を伸ばして椅子に腰かける。肩の力を抜いて脚は肩幅に開きましょう。
- 視線を落としてうつむく。目をつぶってもOKです。
- 自然に呼吸をし、呼吸に意識を集中する。鼻から息が入ってくる感じや胸やお腹膨らんで皮がひっぱられる様子、吐くときにはお腹が緩む感じなどを1つ1つ確認していきましょう。
- 何か他のことが頭に浮かんで来たら、「戻ります」と言って呼吸に意識を戻します。
これを5分~10分間繰り返します。雑念が浮かんできたとしても「他のことを考えてしまった」と慌てる必要はありません。「気づいたら意識を呼吸に戻す」ということを繰り返し行えばよいだけです。
この気づく⇒戻るという作業を繰り返すことが、心の筋トレです。腹筋を鍛えるのと同じように、意識を鍛えることで、雑念に惑わされそうなとき、感情に翻弄されそうになったときでも、すぐに「今」に戻ってくる力がつくようになります。
よく出てくる感情や思考はラベリングしてあげる
マインドフルネスを実践している最中に、毎回同じような感情や考えが浮かんでくる人は、その感情に名前をつけてあげましょう。「不安ちゃん」「プライド君」など、何でもよいのです。ラベルをつけて人格化することにより、その感情との対話がよりやりやすくなるでしょう。
また、自分の認知に一定の歪みがあることにも気づくはずです。これを繰り返していると、同じ感情が湧いてきたときに「ああ、いつもの不安ちゃんね」と、落ち着いて対処をすることができるようになります。
マインドフルネスの6つの効果
世界のトップリーダーをはじめ、アスリートたちもトレーニングに取り入れているというマインドフルネス。マインドフルネスを実践していくと、どんな効果が表れるのでしょうか?主な効果を6つ紹介しましょう。
集中力・注意力がアップする
ランチを食べながらミーティングをする、メールの返信をしながら次のプレゼンのことを考える、複数のタスクを同時進行で進めていく…忙しいビジネスの現場では、こんなマルチタスク型の人も多いでしょう。「ながら作業」というのは、まさしく自動操縦モードで仕事をこなしている状態だと言えますね。
しかし、自動操縦モードを長く続けていると、脳が疲労するばかりでなく、「注意を一点に集中する」という脳の機能が徐々に失われてしまうのだそうです。
マインドフルネスが集中力を高めることは脳科学的にも実証されていて、アメリカで活躍する医学博士久賀谷 亮氏は、著書「脳疲労が消える 最高の休息法」の中で、このように述べています。
そのほか、いわゆるADHD(注意欠陥・多動性障害)の人にもマインドフルネスが有効だという研究結果があります。つまり、落ち着きがなくて集中力に欠ける人々も、マインドフルネスによって注意力を高められるというわけです。脳疲労が消える 最高の休息法
マルチタスク型の人は仕事が早いというイメージがありますが、タスクからタスクへ移動するタイムラグやトップスピードに入るまでの時間を考えると、結果的には集中力が高い人が1つ1つタスクをこなしていくほうがパフォーマンスが高くなるという実験結果も出ています。一流企業がマインドフルネスに躍起になるのもうなずけますね。
不安や怒りという感情が鎮まり、ストレスが軽減する
自動操縦モードで染みついてしまった思考のクセは、マインドフルネスを実践していくうちに徐々に矯正されていきます。「嫌なことが起こる⇒反射的に怒りを感じる⇒ネガティブな感情に包まれる」のではなく、「怒り」という感情に気が付いたところで、一度立ち止まることができるようになります。
また、周囲でストレスを感じることが起こっても、今に集中することで周囲からのマイナスのストロークに振り回されることがなくなります。それは、「相手を無視する」ということではありません。一旦受け止めて、「今何が起こっているのか?」を理解することで、適切な対処法や解決策を考えられるようになります。
「一度立ち止まる」「一旦受け止める」、これは高ぶった交感神経のスイッチをオフにするための心の間です。これで強いストレスからは解放されます。また、「ストレスからの解放はいつでも自分の意志でできる」と思えることで心に余裕が生まれます。
他人に対する思いやりや共感性がアップする
マインドフルネスとは、今この瞬間の自分や周囲の状況に注意を向け「どうすればよいのか?」を考えている状態です。誰かと会話をしている最中であれば、相手の話す内容、感情に寄り添うことができる状態です。
他人と衝突すること、相手を蹴落とすことに何も意味がないことに気づくでしょう。自分にも他人にも思いやりや好奇心を持って接することができるようになるはずです。
免疫力がアップする
マインドフルネスは、ストレスが原因となる疾患に効果があり、うつ病や不安障害などに関しては改善効果が科学的にも実証されています。また、マインドフルネスを実践することにより、心臓病リスクの低減、高血圧・血糖値・コレステロール値の上昇が抑制されたという報告もあります。
さらにアメリカの専門誌Psychosomatic Medicineの調査報告によれば、マインドフルネスによって免疫力がアップすることが示されています。この調査は、調査対象者をマインドフルネス瞑想を毎日実施するグループとそうでないグループに分け、インフルエンザワクチンの抗体値の変化を調べたものです。
その結果、マインドフルネス瞑想を行っていたグループのほうが、行っていないグループに比べて抗体値が大きく増加したことがわかっています。マインドフルネスは、精神面や能力値の向上だけでなく、健康にも役立つんですね。
健康長寿の鍵をにぎるテロメアを維持する
人の老化と深く関わっていると言われるのが細胞の染色体の端にあるテロメア。形が靴紐の先に似ていることから身体の中の靴紐とも呼ばれています。
テロメアは細胞分裂を繰り返していく度に短くなってしまい、それ以上分裂できない長さになると、新しい細胞を作ることができなくなってしまいます。「新しい細胞が出来なくなる」=「身体の老化」に繋がるというわけです。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校エリッサ・エペル教授によれば、「悲観的なものの考え方をする人ほど、テロメアが短くなってしまう」のだそうです。
このテロメアを伸ばす・維持する働きがあると言われているのが、テロメラーゼという酵素。エリッサ・エペル教授は、「マインドフルネスを行うことで、テロメラーゼの分泌を促しテロメアが短くなるスピードを緩めることができる」とも述べています。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校ヘレン・ラブレツキー教授が行った実験では、被験者23名がマインドフルネス瞑想を2ヶ月続けた結果、テロメラーゼは平均で43%も増加したという結果が出ています。マインドフルネスは、長寿やアンチエイジング効果も期待できるんですね。
ダイエットにも効果あり?!
ドカ食い・早食いがクセになっている人なら、マインドフルネスによってダイエット効果も期待できます。16マインドフルネスで今に意識を集中すれば、自分は今何を食べているのか?どんな香りがするのか?どんな味なのか?を感じるために、ゆっくり、よく噛んで食べるようになるでしょう。よく噛んでゆっくり味わうことで、満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防止してくれます。
いつでもどこでもマインドフルネス
マインドフルネスの実践は、瞑想や呼吸法だけではありません。歩いているとき、食事をしているとき、家事をしているとき、今この瞬間に意識を向け、五感のすべてを使って感じるだけでいいのです。
心の筋トレは、1日や2日で結果がでるものではありません。毎日継続的に続けていくことが大切です。ぜひ今日から実践してくださいね。次の記事では、どこでもできるマインドフルネスの実践方法を紹介しています。様々なパターンのマインドフルネス方法やポイントを解説していますので、ぜひこちらの記事も参考にしてくださいね♪
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