兄弟差別に悩む母親たちへ。良い親子関係を築くために今考えたいこと
「下の子は可愛いけど、上の子は可愛くない。」なんて堂々と話す母親がいたとしたら、きっと周りからは冷たい母親だと思われてしまうことでしょう。しかし子どもが複数いる家庭において、兄弟を平等に愛せているかどうかという悩みや不安を感じているママは、思っているよりもずっと多いのです。
同じ自分の子どもであっても、母親も生身の人間です。どうしても育てやすい子と、そうでない子が出てきてしまうのもあって当然ではないでしょうか。
上の子と比較してしまったり、下の子が生まれてきてから親子関係がぎくしゃくし出してきてしまったママさん。今しっかりと自分の心と向き合ってみませんか。
そしてね、実は私4人兄弟の長女なの。昔は親の態度が兄弟によって違うことで、やっぱり悩んだり反抗したりしたことがあったなあ。
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兄弟差別について
ふと気が付くと、ある子に対してばかり褒めたり、その反対に叱ってしまっている自分に気が付くことはありませんか?兄弟で同じことをしていても、なぜか子どもによって自分の言い方や感情が違ってしまう…。
もしかしたら、それは兄弟差別かも知れません。もちろん良くないことですが、特別なことではなく、海外のあるデータによると複数の子を持つ7割以上の親が兄弟差別をしている自覚があるそうです。
作っていない!?お気に入りの存在
兄弟差別が起こる原因として、自分にとってお気に入りの子どもがいることで生まれてしまうことが往々にしてあります。まずは自分自身が兄弟差別をしてしまっていることを自覚し、特別な存在にしてしまっている理由を理解することで、解決に一歩近づくかも知れません。
お気に入りになりやすい子ども
パターン1:自分に似ている子
「類は友を呼ぶ」とも言いますが人は外見や性格を含めて、自分に似ている相手に対して特別な感情を持ちやすくなります。これに関しては、「人が進化の過程で仲間と群れるために身に付けた傾向である」と心理学者や生物学者によって証明されており、残念ながら自身でコントロールすることは難しいのかも知れません。
その反対に、自分自身が幼少期に親から差別を受けていたり、否定的な言葉を浴びせられて育った場合は、自分の性格や容姿に嫌悪感を抱きやすく、自分に似た子どもを否定しがちになる傾向にあります。
パターン2:お利口さん
勉強やスポーツの成績が優秀であったり、聞き分けの良い、つまり親にとって都合の良い子がお気に入りにされるパターンです。この場合、親は子ども自身よりも子どもの才能を愛してしまっていることも。
親の叶えられなかった夢を託されたり、子どもにとってみれば、嬉しいどころかプレッシャーに苦しんでいる場合もあります。また、出来のいい子にばかり気をとられてしまって、もう一方の差別された子の才能を見落としている可能性もあるかも知れません。
パターン3:性別や誕生順位
子どもにとってはどうしようもないことなのですが、性別や誕生順位だけで知らず知らずのうちに、好きな子ができてしまっている場合も良くあります。末っ子が1番可愛がられるのはまさに典型的なパターンと言えます。
さらに母親が女の子よりも男の子の方が可愛いと思えてしまうのも宿命的なものです。女性である母親は男の子と一体感を持ちにくいため、つい一生懸命になってしまいます。その頑張りの中で湧いてくる種類の可愛さは女の子にはない、男の子ならではのものなのです。
パターン4:手のかかる子
手のかかる子どもほど可愛いとはよく言ったものですが、1人では何もできない甘えん坊や、やんちゃで目の離せない子をお気に入りにするパターンです。このパターンに該当する親は、子育てをすることで自分の存在価値を確かめていることが多く、知らず知らずのうちに子育てが子どものためでなく、自分のためになってしまっています。
さらにこのケースの場合、もう一方の子は手のかからないしっかり者として差別される側に居ることが多く、実はこの手のかからない子の方が危険であったりします。親からしてみれば、放っておいても平気なので子どもと接する機会が減り、子どものSOSに気づきにくい状況を作ってしまっているかも知れません。
心理学者や聖書からみる子どもへの影響
アドラーの言葉
引用元:アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉(48)兄弟・姉妹が親の愛情を勝ち取るための競争戦略とは
親が1人だけ特別扱いをしていたら、当然兄弟関係も悪化するでしょう。自分のせいで兄弟仲が悪くなり、そのことで1人の子どもの性格に影響を及ぼしてしまう、言ってみれば子どもの将来にも大きく関わっていく可能性があるということを覚えておいた方が良さそうです。
アドラーの心理学についてはこちらで詳しく解説してあります。アドラーの教え1つ1つにハッとさせられますよ。
⇒アドラー心理学って何?「嫌われる勇気」でラクに生きる!仕事編
⇒アドラー心理学って何?「嫌われる勇気」でラクに生きる!恋愛編
カイン・コンプレックス
カイン・コンプレックスとは一般的に兄弟間での嫉妬心や競争心などを指しますが、幼少期における差別的な愛情を受けた子どもはコンプレックスとして成長後も尾を引いてしまうと言われています。
その例として
・兄弟に比べて自分はいらない子どもだと思い込み、自分自身を否定してしまったり、自信が持てなくなる。
・憎しみを持った兄弟と同じ世代の人に対しても増悪を抱いてしまう。
などが挙げられます。
このカイン・コンプレックスという名は「旧約聖書」の創生記第4章に出てくる「カインとアベルの物語」から呼ばれるようになりました。
農業を営んでいたカインと、羊飼いをしていたアベルは、あるとき神に供え物をしました。神はアベルとその供え物を喜びましたが、カインに対してはその供え物を顧みませんでした。これに嫉妬したカインはアベルを殺してしまい、神によって「エデンの東」に追放されてしまいまうというお話です。
兄弟差別をしないために
同じ基準で比べない
アドラーの言葉に、「長男は勉強、次男は運動、末っ子は読書。兄弟間で得意分野が異なるのには理由がある。それぞれ違う分野で認められようとするからだ。」とあるように、上の子と下の子は違うタイプに育てる!くらいに徹することが大切です。
長女がピアノを習ったら、次女はバイオリンにする…といったように分野を分けると同じ土俵で比べなくて済みます。子ども自身も「自分は自分だ」と思え差別を感じにくくなるでしょう。
上の子と下の子で得意なことはもともと違います。それぞれの子どもの個性を見つけ、良い方向に伸ばして行くのが親の役目だと言えますね。
「今だけ」の限定にしてみる
いくら我が子とは言え、いつもいつも可愛くて仕方がない…という母親は果たしているのでしょうか。成長の証とも取れますが、いくら言っても聞かない、反抗的な態度を取る…などといった子どもの態度に腹をたたせてしまうのが一般的でしょう。
しかし一度この子は可愛くない…と決めつけてしまうと、実際はそれほどでもないのに、その先も自分の心に暗示をかけてしまいやすくなります。そんなときは「上の子が」ではなく「今だけは」可愛くないと、時期を限定して思うことが大切です。実際、子どもに手がかかったり、反抗期の時期は一過性のものであり、ある程度の時間が過ぎれば子どもの言動も変わってくることがほとんどでしょう。
子どもを育てているとわかりますが、子どもの成長は早く、今と同じ状況が数か月後同じように続くとは限りません。そんな時に母親の気持ちも上手にシフトチェンジできるよう子どもとの相性ではなく、子どもの年齢との相性として捉えることが大切です。
親子・兄弟関係を修復する場を設ける
既に兄弟差別をしてしまっている場合、時をみて関係を修復する場を作りましょう。子どもが大きく成長するにつれて、兄弟喧嘩も減ることでしょう。「あの時は寂しい思いをさせてしまってごめんね。」などと言って、小さい頃に感じていた感情を吐き出させ、わだかまりをほどくことが重要です。
さもないと、大人になってもその思いは残り、大人になっても兄弟が嫌いという気持ちを引きずってしまうかも知れません。いつまでも親は傍にいるわけでもありません。親としてみれば、兄弟がいつまでも仲良く助け合える関係でいてもらいたいですよね。
限りない愛情を
親は人間であるから、愛情を機械的に等分することは不可能です。しかし愛情は限りあるものでも、分量が決まっているものでもありません。愛情は注げば注ぐほど沸いてくるものであるため、愛情が偏ったかな…と感じたら、もう一方の子どもにそれ以上の愛情をかけてやれば良いのです。
今回の記事で、日々の子どもへの手の掛け方を振り返り、自分自身を客観視する機会になればとても嬉しいです。
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